読書

なんとなく光ってるほうへ、進んでいるか

お店が休みになるということで、久々に「紙の本」でも読むかと、図書館へ出かけました。

図書館では、目標を定めずにフラフラすることにしている。

ふと目に留まったのが、真っ黒い装丁がクールなこの1冊。

ちなみに小説家には憧れたこともないし、うらやましいと思ったこともない。

ただ、こんな大変そうな仕事をする人々、その存在自体にすごく興味があるので、手に取ってみました。

この本は吉本ばななさんの「小説家としての矜持、心構え」的なものとその解説が100箇条まとめられている、という一種のエッセイ。

パラパラめくって、ふと目に飛び込んできたのが第50箇条。

50.考えるより動くこと。なんとなく光ってるほうへ。計算したら文章が腐る。

この一文、中でも「なんとなく光ってるほうへ。」というフレーズにぎゅっと心をつかまれた。

なんとなく光ってるほうへ。わかってても、進むのって難しいんだよな…

わたしが人生の選択肢で「なんとなく光ってる(と思える)ほう」へ進む勇気をやっと持てたのは40歳過ぎのこと。

それまでは、「光ってそうだけど、道なき茨の道」よりも、「暗くてつまらなくても、転ばないとわかってる舗装道」のほうへ進んでしまう人生だったな。

もう少し「なんとなく光るほうへ」進むのが早かったら、もっと違う景色が見られていただろうか、なんて思わなくもないけど、それは思わないようにしている。無意味なので。

そもそも、今でも、油断すると「暗いけど舗装道」のほうへふっと行きそうになるし。(基本的にラクなのが好き)

この本を読むと、小説家って本当に命を削って生きているんだなとつくづく思う。
(全ての小説家がそうかはわからないけど)

考えてみれば、商業的な小説家ではなくても、みんな自分の人生という物語を作りながら生きている。

そう考えると、人類全小説家、と言えなくもない。

つまり「小説家としての生き方」は、まんま「人間としての生き方」になるわけで、かなり普遍的な要素として読める中身だと思う。

たとえば、

91.一目で「この人の書いたものだ」とわかる特徴を持つ。
ただしそれは計算しても決して見つからない。
書き続けるとわかってくる。

パティシエだったら、

91♯.一目でこの人の作ったケーキだとわかる特徴を持つ。
ただしそれは計算しても決して見つからない。
作り続けるとわかってくる。

と置き換えられるだろうか?

こんな感じで100箇条もあるものをギュッと勝手に絞り込んでみると、小説家(人生)のエッセンスは

「戦わないこと」
「シンプルであること」
「つまらぬことに時間を取られないこと」

のように感じる。

「モメるよりメモる」

ってのもいい。

他の人だったら100箇条をどうまとめるのかなァ、なんて思ったりします。

しかし、借りた本でここまでああだこうだ言うのも図々しいので、まずは買わなきゃな。