この数年、ずっと悩まされている歯があります。
正確に言うと歯じゃなくてその根っこなんだけれども、レントゲンやCTで見ると、炎症を起こしているのがわかる。
ふだんは特に痛くもかゆくもないんだけど、疲れているときなど、ふとした時になんとなく腫れたり、地味に響いたりする感じもする。
そういうの、何となく気になりません?
じゃ削ってさっさと治療すれば、と思いますよね。
もちろんわたしも地元の医者には何度も行ったのですが、話はそう単純ではなく、これがかなり難しいんですって。
歯の根っこの治療って手探りなことが多いらしく、田舎の歯医者ではお手上げ状態。
いや、別に「田舎の歯医者」とバカにしているわけではないんですよ。
でも、お医者さん本人が
「これ田舎じゃムリなんで、都会の歯医者へ行ってください」
って言うんだもんよ。
で、仕方なく、東京へ行った機会に、親が通っている歯医者へ行ってみました。
さすが都会なのか、最新らしい機械で、より詳しいレントゲン、3Dの画像解析やらまでやってくれたのだけど、結論は
「インプラントにしたほうがいいですねぇ」
だって!!
インプラントと言えば、歯を抜いて人工の歯根を埋める、アレ???
いや別に、その治療法自体に異論はないですが、自分でやるとなると話が違う。
歯自体はまだ健康に見えるし、抜くのはちょっと、いや、ものすごく抵抗あるなぁ。
ま、とりあえず参考まで聞いてみるけど。
おいくらかかるんですか?(※自費診療です)
「一声、50万ですね」
なんの一声じゃ。
お医者によると、歯を抜かないで治療するにしても、歯根の治療も自費診療なので、20万くらいはかかるそう。
しかし、それでも、非常に難しく手間のかかる治療で、さらに、完治する保証はない。
だったら、がっつりインプラントやって、さくっと治した方が良いのではないか。
なるほど、まぁ、わかるような気もするけど。
しかし、歯って抜いてしまったらもう元には戻せないですよね。
ここで決めてしまっていいのかしらん。
少なくとも、あと1人は話を聞いてみたい。
てか、そもそも、なんで歯根の治療は自費診療なのか。
そこで今度は、サードオピニオンとして、少し都会度を下げて、「高知市内」で歯医者を探してみました。
すると、「根管治療」というメニューをかかげる歯医者が数カ所あるのに気づく。
根管治療とは歯の根管の中にある「虫歯に感染した歯の神経」「細菌」「過去に詰めた古い充填材」等を除去していく歯科の治療法、とのこと。
歯を抜かないというのが大前提です。
そうそう、これを探してたのよ!!
さっそく、高知市内の中でも、この「根管治療」をしている歯医者さんを限定して行ってみることに。
いや、行ってみましたといっても、うちから高知市内へ行くのは片道2時間強の道のり。
歯医者のためだけに往復するのももったいないので、東京へ行く日に合わせて予約を取る。
つまり、四万十市から高知空港に行く前に、高知市の歯医者に寄っていくというわけです。
あなたは、スーツケース持って歯医者に行ったことありますか?
想像以上に邪魔ですよ?
ともあれ、高知市のお医者さんはとても丁寧で、かなり時間をかけて歯を診てくれました。
で、結論は
「インプラントにしたほうがいいです」
いや、て言うかブルータスよ。
根管治療って書いていたよね?
なんでインプラントに誘導するの?
理由を聞いてみると、「歯根治療は難しくて~、やってみてもいいけど、完治する保証はなく~、それでも20万円かかって…」とまぁ、驚くほど東京の歯科医さんと説明は同じでした。
ちなみにインプラント費用はやっぱり一声50万円。
東京のど真ん中と高知とで、費用が同じというのは意外ですね。
いろいろ聞いてみて、優しいお医者さんだし、疑うわけじゃないけれど…
東京の歯科も高知市の歯科も、高額な自費診療のインプラントに誘導しようとしてない?と思ってしまうんですよね。(バリバリ疑ってる)
治るかわからない治療20万円?
一発インプラント50万円?
本当に正しい選択肢がわからない!!
というわけで、ほとほと困ってしまいました。
これって結局、相手を信頼できない限り、永遠に歯医者を巡っても決められなさそう。
つまり、「口コミの評価が高い歯医者」とかではなく、「この人を信じてダメなら、諦めがつく」という対象に話を聞かなければダメだと言うことに気づきました。
そこで色々考えて、思い出したのは、開業の歯科医をしている、高校時代の部活動の先輩。
とても面倒見のいい、そしてものすごく賢い先輩で、まさに「この人を信じてダメなら、諦めがつく」というタイプの人。
とはいえ、もう30年くらい会っておらず、正直、突然訪ねていくのはちょっと勇気が要ったし、なんかこんなことで手を煩わしていいのか。
しかし、もう最終手段です。
都内某所に構えられた先輩の歯科医院、人気の歯医者らしく、ようやく予約が取れたのは平日の夕方、閉院まぎわの時間。
不思議なもので、若いころの知り合いっていうのは、どんなに久しぶりに会ってもあまり違和感がなくて、さらに、当時の関係性に戻ってしまうんですよね。
初めは緊張したものの、顔を見た途端に、気分は高校生。
とちょっぴりシニカルな言い方をするのもこの先輩の特徴なのです。
さくさくっと診てくれた結果、教えてくれたこと。
- 根っこの治療が難しいのは事実
- 見たところ、自分でも完治させるという自信は持てない症例
- とはいえ、インプラントでなきゃダメってこともない
とのこと。
東京の歯医者さんも高知市の歯医者さんも、別に嘘は言ってなかったということで、疑ってスミマセン。
そして、
と一番気になることもズバッと訊いてみた。
とあっさり教えてくれました。
お、おぅ…
メッチャわかりやすいけど、世知辛い世の中ですねぇ。
まぁ歯医者さんもお仕事だもんね。
そんな事情があればしょうがないと思う。
ついでに、
治療か、インプラントかという選択肢しか見えてなかったけど、「気にならない程度なら放置」っていう第三のオプションもあるわけですね~。
まぁ、そんなわけで、いったん「放置ゼロ円」という、思いがけない着地点にたどり着きました。
なんだかんだ言いつつ、いつかはインプラントするかもしれないんですが、それでも「納得感」は持ってやれそうな気がします。
田舎に住んでいる最大のデメリットはやっぱり医療関係だなと改めて実感。
これから歳を重ねたら、ますます大変になりそう~
今から、ますます健康には留意しなくちゃなりません。