本日は家から一歩も出ていないし、家はエアコンをほぼかけていたのだけど、それでも朝から暑く感じた。
今日は、製菓部門のアシスタントのYちゃんが来てくれる日。
色白で可愛らしく、いかにも暑さに弱そうな彼女は、来た時にすでにやっぱり弱っていた。
「暑いです…」
もう死んでおるぞ、声。
一方、わたしも今週は色々慌ただしいこともあり、単に加齢(?)もあり、疲れではYちゃんに負けない。
なので今週の仕込みは、だいぶ量を減らすことにした。
で、なくせる手間も、全部なくしてみた。
Yちゃんが来てくれる5時間のうち、通常30分は休憩を取るのだが、今日はそれに加えてさらに30分、「焼菓子の型にバターを塗る」という、座ってできる作業を取り入れた。
これは通常、わたしが早朝やっている作業で、いつもならけっこう孤独な時間である。
しかし、休憩がてら2人でやってみたら、はたして、縁側に座って編み物をしながら会話をしているような牧歌的な状況になった。
そんな会話をしつつカラダは休まるし、かといってサボっているわけでもないし、一石二鳥だ。
ちなみに交通整理の人とか、宅配業者さんとか、その他にも、「真夏のたこ焼きクラス」に大変なお仕事は山ほどあるだろう。そのすべての人を心から尊敬してしまう。
この間、ちょっと離れたオーブンでは、さっきYちゃんが放り込んでくれたケーキが235度でガンガン焼かれている。
いつもならその近くで何か作業をしている。
真夏のオーブン前は、いるだけで魂を抜かれるくらいしんどい。
なので、この「火炉エリア」から遠ざかるだけでも意味がある。
ちょっと前なら、「せっかく手伝いに来てくれてるんだから、人手がある間にアレもコレもやってしまおう!!」と詰め込んでいたけど、なんだかもういいや、という感じがしている。
もちろん、凝ったお菓子が少なくなり、さらに作る商品数も少なくなれば、売上はその分少なくなる。そうすると、アルバイトさんを雇うこともできなくなるから本末転倒。
でも、わたしたちがお店をやっている大きな理由は、以前にも書いたけれど、「良い雇用を生むこと」。だから、自分と、Yちゃんの笑顔が消えない程度にやれることをやるほうが、やっぱりずっと意義があるというか、優先のような気がした。
命を削って作る必要のあるものなんてない(と、思う)。
特にお菓子なんて、消費者から見れば人生のご褒美やおまけみたいなもので、「手の届く幸せ」の代表格の1つだ。
ふっと安らいだり元気を出したりしたいときに食べたいものなのに、それを作る側が、歯を食いしばり、涙を流しながら必死に作るというのも非常にいびつだし、お菓子になんだかヘンな「気」が乗り移ってしまいそうだ。
笑顔で作れないなら、作らないほうがいい。
そんな風に考えて行動し続けられたらいいな。
菓子店の廃業の話が大きなニュースになっている厳しい夏に、そんなことを考えながら過ごしています。
洋菓子店の倒産、過去最多 前年度から6割増 「原材料高」が打撃(Yahoo!ニュース)