東京から高知県へ移住してしばらく経ったころ、移住者の先輩がこんなことをボソッと言いました。
なんか怖いんだけど、
なんの都市伝説(いや田舎伝説?)??
当時はその真意がよくわからなかったんですが、移住7年目となった今、「なるほど!!」と思うことしきり。
移住は5年目過ぎると厳しい。
今日はその意味するところを掘り下げてみます。
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はじめは8割の人が優しい
「移住して人間関係で悩む」
という話は腐るほど出てきますが、実際には移住先に10人の村人がいたら、8人は優しくて、2人は優しくない、そんな感じです。
しょっぱなから人間関係で悩む人は、その2人がよほどタチが悪いということが多いように思います。
それにしてもどうでしょうか、そんなに優しい人が多いのって、意外じゃないですか?
ちなみに、優しくない2人のほうは、移住者に対してだけではなく、誰に対しても優しくないことが多いです。
今日は、2人のほうの話は本題ではないのでここまで。
なぜ村人は「意外と親切」なのか?
これは簡単で、他人に優しくする、親切にするっていうことは、自分自身にとってものすごい快感だからです。
人間には4つの幸せホルモン「ドーパミン、セロトニン、オキシトシン、エンドルフィン」があるんですが、人に親切にすると、この幸せホルモンのすべてが分泌されると言われています。
- ドーパミン(ストレス緩和)
- セロトニン(精神安定)
- オキシトシン(愛情)
- エンドルフィン(高揚)
ヘルパーズハイ、なんて言葉もあるらしいですよ。
都会にいると人間関係が希薄なので感じづらいかもしれませんが、この原理はそう変わらないはず。
なので、場所や国籍に関わらず、基本的に世の中には親切な人間が多いはずだと思っています。
気づかないのは、親切「じゃないほう」の人に目が行ってしまうからかもしれませんね。
「1年目を乗り切れば」の誤解
話が少しそれますが、わたしは当初、
と思っていました。
理由は簡単で、田舎は季節の影響を受けやすいからです。
暑さ、寒さ、虫の多さ、行事やならわしなど、四季を通して見てみないと、その土地が本当に自分に合うかどうかわかりません。
たとえば、移住先が大好きだけど、唯一どうしても夏の「カエルの鳴き声」がうるさすぎて気が狂いそうになり都会に帰ったという人もいます。
1年が過ぎたら、その土地に対する自分の耐性があるかどうかもわかる。
これは一理あると今でも思っています。
ただ当時わたしが気づかなかったのは、人間関係は1年では安定しない、という点でした。
人間関係は「対等になってから」始まる
さて、本題に戻ると、移住先の人間関係は、なぜ5年が過ぎると厳しいと言われるのでしょうか。
これまた考えてみれば簡単な話なのですが、都会から移住してきた人っていうのは、はじめはほとんど旅行者みたいなもの。
土地勘もない、道もわからない、なんだったら方言も通じない。
圧倒的な弱者です。
こういう相手に初めから厳しくする人はあまりいません。
まして、四国はお遍路文化のある土地で、旅の人には優しくするという意識がおそらく他の地域よりも強いでしょう。
しかし、旅人が住み着いて、同じ土地に5年もいたら?
あらゆることに慣れてくるでしょうし、都会から来た人なら情報収集やコミュニケーションに長けていることも多いです。
もちろん移住者は何十年経ってもその土地の出身者にはなれません。
でも、単なる住民としてなら、だんだんと、地元民と遜色がないレベルになってきます。
こうして移住者と地元民がある程度「対等に」なってきたときに、はじめにいた「10人のうち優しかった8人」の対応に少しずつ差が出てきます。
感覚としては、8人のうち、4人は相変わらず親切、優しい。
あとの4人は、少し距離を置き始めたり、あるいは移住者のやりたいことを妨害しはじめたりします。
理由は簡単、自分のポジションを侵害されるかもしれないと、脅威に思い始めるからです。
たとえば5歳児と相撲を取ったと考えてみましょう。
たぶん、半分の力も出さなくても、あなたが勝ちますよね。
しかし、その5歳児が5年経って10歳になったらどうですか?
小学校5年生、個人差はありますが、全力で戦わないと意外と負けるかもしれません。
ま、そういうことなんです。
それでも過度な心配は不要な理由
ここまで読んでみて、やっぱり田舎とか移住は怖いな、面倒だな、と思われたでしょうか。
でも過度に心配しなくてもいい、と思うんです。
上に書いたように、周囲の10人のうち、4人は最後まで優しいから。
つまり自分が真摯でいる限り、常に周囲の4割は味方だとカウントしていい。
え、たった4割の味方で大丈夫?って思うかもしれませんが、イチローだって打率3割なんだから、4割でも十分すぎるほどだと思いますよ。
それに都会にいたって、こういうことから逃れられるわけでもないです。
会社でも、能力の高い人が意外と上司から疎まれ、人畜無害で能力そこそこの人のほうが出世しやすいなんてケースはよくあることです。
都会であれ、田舎であれ、人間が集まったら同じことが起こるんだと思います。
強いて言えば、田舎のほうが自営業が多く、「職住接近」というか、仕事とプライベートの境目が曖昧なため、逃げ場が少ないように感じるのかもしれません。
でもまぁ、会社だってそう簡単に逃げられるわけではないですからね。
どうしても不安があったらどうする?
ここまで読まれてきて、やっぱりなんだか精神論だよなぁ、と移住や田舎への不安が拭い切れない方に、具体的な不安解消方法をお伝えします。
- 組織に勤める
- 家を建てる
このどちらか、または両方です。
仮に非正規とか短期であっても、組織(会社とか役所とか)に入ることで一気に身内に入れてもらえますから、その影響は相当強いです。
なぜなら、田舎では人脈≒情報源≒パワーだからです。
あと、家を建てる(買う)と、急に一人前扱いされるような気がします。
都会だと、本当の金持ちは都心の賃貸高級タワマンとかに住んでいますよね。
持ち家の有無っていうのは、正直あまりその人のパワーを正確に示すとは思いません。
なので、田舎における持ち家=パワー、という感覚は、いまだ慣れていないというのが正直なところですが、現実としてはそういう傾向がまだある気がします。
ともあれ、組織に勤めつつ、家を買い、安定してきたら組織を離れて好きな自営業をしてもいい、というのが、今のところ田舎暮らし最強&安全ルートのように感じています。
まとめ
正直、面倒も多い田舎暮らし&移住ですが、「生活力」というのはものすごく上がります。生活力とは、つまり今後どこに住んでいても、何をしていても、たぶん死なないだろうという自信です。
ある意味、最強の老後対策でもあります。
興味のある方はチャレンジしてみてください!