<前編より続く>
そんなこんなで、ナゾの(というかニセの)ランドローバーでデイトリップはスタート。
空調は効いているし、なんだか乗り心地は悪くないクルマ。
ただし、そもそも道が悪い。
揺れ、砂ぼこり、揺れ、砂ぼこり・・・ の繰り返しで、これやっぱりSUVで正解だったなぁと。

はじめにホテルで問い合わせたときは「トゥクトゥクで行けるよ?」という話もあったのだけど、全力で拒否してよかった。行けねーよ!!
さて、山へ向かう道は混雑することもなく、予定通り1時間30分ほどで、目的地の村に到着。
そこで待っていたのは、「牧歌的」以外に当てはまる言葉が見つからない風景。
のんびりしていて、犬も子どもも、もちろん大人も幸せそうです。



おそらく、基本的に自給自足。
物質的なものをあまり求めていないように見受けられる。
四万十あたりで「イオンモールが遠い」などと文句を言うわたしなんかは、本当になんらかのステージが低い気がする。
さて、ドライバーは村人と顔なじみらしく、さくさくと話をすると、
「現地ガイドが来るからちょっと待って」
という。しばらくすると、ワンピースのルフィのような、「野生感ただよう、かわいい少年」がやってきた。
よく見ると、ルフィ、日本のそこらのアイドルよりかわいいのではないか。
You,日本に来ちゃいなよ、もっと稼げるよ?
いけない、俗っぽいことを考えてしまった。
ルフィ、わたしの目には15~16歳くらいに見えたので、こんな子どもに働かせていいのかしらんと思ったのだけど、ルフィ本人は特に児童労働を厭う様子もなく、慣れた様子で、ドライバーからの指示をフンフンと聞いている。
それからさっそく、ルフィを先頭に、わたしたち50代の男女4人が旅に出た。
・・・といっても、平坦な森林の中の道をかき分けて歩くだけで、それほど大変なこともない。
暑いことは暑いけれど、街中に比べると、やはり少し標高が高いのか、ずっと過ごしやすい。
コーヒー農園というと、柵に囲まれたきっちりとしたものを想像していたのだけど、歩き始めてわりとすぐに、うじゃうじゃとコーヒーの木が現れ始める。
え、こんなほったらかし(じゃないかもしれないけど)で育つの?
と思うほど、なんだか自然な感じであった。
SHADE TREE、というわたしたちの店の名前のもとにもなった、シェードツリー(日陰樹、コーヒーの木を直射日光から守るため、日傘のような役割をさせるために植えている木)もそこらじゅうで見られる。
緑ばかりでわかりにくい
なんとなくだけど、コーヒーのためにシェードツリーを植えたのではなく、シェードツリーになりそうな木(たとえばバナナ)の下に、コーヒーを植えたのかな。という感じ。
無造作に、というか、ごく当たり前のようにそこにあり、コーヒーってもともとこんな風に気楽に育てられていたのかしらと考える。
コーヒーを淹れる人も飲む人も、そこに哲学とかロマンとかストーリーとか語るのが好きな人が多いけれど(自由である)、この風景を見ると、なんとなくそういう「語り」は大げさに感じられてしまう。
コーヒーはただの植物だもんね。
そんなことをしみじみ考えながら1時間弱、ハイキングみたいなことをして、そろそろ終わりかな?なんて思っていたところにルフィが
「僕の住む村を見に来る?」との笑顔。

なんだかわからないけど・・・
わたしの野生のカンみたいなものが、「これは危険」と告げている。
ルフィいわく、「この山を登ると、頂上から見えるんだ。歩いて15分くらいかな」
危険。ぜったい。
こういうときの15分は、たいてい30分かかる。しかも山を登ると言ってますぜ。
わたしを含む4人全員がそれほど乗り気ではなかったのだけど、この東南アジアの少年の無垢な顔を見ていると、「きみの村は見なくていい」とはなんとなく言いにくい、と4人全員の顔に書いてあった。
このアジアの少年の笑顔をくもらせたくない。
急に青年海外協力隊みたいな気持ちになるから不思議。
「ちょ、ちょっと登ってみて・・・やばかったら引き返そうか?」
そんないかにも日本人らしいグレーな案が出て、全員が賛同した。
ここから先はあまり詳細を書くほどではないのですが、登ったのは「山ではなく崖」であり、「15分は30分ではなく60分」であり、まとめると死ぬほど疲れたのです。
それどころか、1歩踏み外せば本当に死んでしまいそうな危険な道程でした。
ほら、1枚の写真を撮る余裕もなかったし。
ここで生まれ育ったルフィはビーチサンダル(驚愕)でサルのように崖を駆け上っていくのですが、わたしたち50代4人は崖から落ちないように登るのがやっと。
4人の中でも、とりわけ運動センスも体力もないわたしがもちろんぶっちぎりの足手まといで、わたしがいなければおそらく30分くらいで行けたのでは?と思うのですけど。
ただ、命がけでたどりついた山頂から眺めたルフィの村は、それはそれは穏やかな風景で、ずっとこのままここが平和な場所であり続けますように、と思わずにはいられませんでした。

でももう二度と登らないけどね!!!
帰り際に、ふと気づくと、ルフィの妻と子ども(3歳くらい?)がやってきていた。
ルフィ、お前いくつだったんだ。児童労働じゃなくてふつうに働くお父さんじゃないか。
総じていえば、いいデイトリップでした。
ドライバーもルフィも、ラオスも人々も、みんなありがとう。






