2025年9月に放送されて、なかなか見られていなかった録画をやっと見ました!
ETV特集 「POP 大滝詠一 幸せな結末」

日本ポップス史に輝く巨人、大滝詠一。はっぴいえんどでの活動や、名盤「A LONG VACATION」など、時を越えて歌い継がれる。番組は、貴重な76年のスタジオライブや未公開のインタビュー、自筆メモ、盟友・松本隆や鈴木茂などの証言からその音楽哲学に迫る。さらに最大のヒット曲「幸せな結末」の創作過程を記録した37時間のテープを初公開。名曲誕生までの軌跡を描く。大滝の目指した究極のポップとは何か。
一言で言って、最高に良い番組でした!
小林克也氏の、英語DJ風のナレーション。
レトロでポップな古い映像と背景。
アナログな機材の見せ方。
そんなこんなが大滝詠一の世界そのものを体現していて、「この番組を作った人は、本当に大滝詠一が好きで、リスペクトしてるんだな」とひしひし伝わってくる内容でした。
わたしにとっては、中学生のころ(=1980年代)に、大滝詠一のファンだった大人っぽい友人に影響されて聴いたのがはじまり。
この2枚についてはほぼ全曲をそらんじるほど聴いて生きてきた。
そんな人、意外と多いでしょうね。
がしかし、大滝詠一本人はあまりマスコミに出なかったし、本人がしゃべったり動いたりする姿はほとんど見たことがなかったように思います。
なので、彼の肉声や映像が満載だった今回のこのETV特集は目が離せませんでした。
大滝詠一が一貫していたのは
”僕はPOPをやりたいのだ”
というシンプルな想い。
日本の音楽史とアメリカの影響を融合させて、日本のポップシーンを作り出し、とにかく自分が好きなものを日本人に伝えたいと考えてきた。DJのように。
番組の中で、彼の友人たちが大滝詠一を語るとき、
「なんかヘンな人だった」
と失笑まじりに言っているのがたまらなく面白かった。
好きなことを頑固に突き詰めてやっているだけ、脇目もふらない、計算もしない。
一般的に言って「ヘンな人」、でもだからこそ周囲の誰もが愛してやまなかったんだろうと思う。
上記2枚のロングヒットを飛ばしてからは、糸が切れたように仙人のごとく雌伏して12年。
そして鮮やかによみがえってきて突然世に登場した曲が、キムタクで月9の、あの「ラブジェネ」の主題歌。
↑久々にじっくり聴いたのだけど、良い。
やっぱりめちゃめちゃ良い。
大滝詠一の歌も声も、なぜか歳を取らない。
かといって若作りしているわけでもない。
なんでなのか?40年聴いていても、印象が何も変わらない。
恐ろしいほどにスタンダード…
前置きが長すぎましたが、そんな大滝詠一が良く言っていた言葉が、タイトルのとおり
”悩んだら墓参り”
だそうです。
パワーのある一節で、なぜかグサっときました。
悩んだら墓参り…
いや本当に墓地へ行くのではなく(別にそれもいいけど)、ようするに「原点に帰れ」ということです。
大滝詠一の場合は、エルヴィス・プレスリーの曲を聴き直したりとか、日本の歌謡曲をさかのぼり研究してみたりとか。
そうか、「墓=原点」がはっきりしている人は強いんだな。
そんなことを感じました。
皆さんにも、参るべき墓はありますか?
わたしは心に思うところがあるのですが、改めてゆっくり考えてみようと思いました。