思考

カフェをはじめて良かったこと

カフェをはじめて良かったこと。

一般的には「自分の世界観を表現できる場が」とか「お客様の笑顔が云々」とか言うべきところなのかもしれませんが、ちょっと(全然)違います。

わたしにとってカフェをはじめて一番良かったことは
「他人を羨ましがらなくなったこと」

なんです。超自分本位な話。

これにはちょっと遡った説明が必要になります。

わたしの実家は裕福とは言えませんでしたが、三人兄妹の末っ子だったこともあって、日常のささいなことは、だいたい思い通りになっていました。

たとえば「大きいほうのお肉チョーダイ」「お姉ちゃんと同じお人形カッテ」みたいな。

そんな原体験のせいか、大人になっても、他人を見ると、常に自分にないものを見つけ出して、その部分を羨ましがり、欲しがる天才でした。

たとえば「お金持ちの奥さんっていいなぁ」と思った翌日は「外資系の駐在員で独身なんていいなぁ」と思い、「芸能人って楽しそうだよね」と思った次の日には「アスリートみたいに一芸に秀でたい」とか、もうめちゃくちゃなんですけど。

で、「カフェ経営者っていいなぁ」も、そのひとつ。

というか、むしろ筆頭に羨ましかった。
会社を辞めて、古本屋とかカフェやりたいって、みんな1度くらい思いませんか?

ところが、それまでほとんどのわたしの「いいなぁ」は叶わなかったのに、カフェ経営だけは、本当に思いがけず、ぽろっと叶ってしまって、こっちがビックリしました。

ともかく、

いや~これで幸せ間違いなしじゃん

と思いましたよね。

ところが、実際にやってみたカフェの状況がどうだったかというと。

大半の時間は、掃除か雑務

本当は好きな本や雑貨も売りたいけど、現実にはひとりで接客しながら販売は無理じゃんと気づき。

メニューもガンガン増やしたいけど、メニュー1つ多いと在庫管理やオペレーションがぐっと大変になるので、いろいろ諦め。
などなど。

ともかく思ってたのと全然違う・・・

それでやっと、
「いいなぁって見える人生の水面下って、こういうものか」

ってことが、頭で理解するのではなく、身体でわかったのです。

恐らく、お金持ちの奥さまにも、外資系企業の駐在員にも、芸能人もスポーツ選手も芸術家も、華やかな場面が多い人ほど、裏側は大変なことがたくさんあるはず。

”強いスポットライトを浴びるほど、影も濃くなる”

とは、誰の言葉だったか。真実だと思います。

世でいう「成功」ってそんなにいいことじゃないのか。

ていうか、本当の成功ってなんなんだろう。

ともあれ、思ったようにいかないことが多くて、思った以上に大変で(そして思ったより全然儲からないw)カフェなんですけど、色んな気づきを与えてくれるこの業務がなんだかんだ言っても気に入っています。

あ、これがもしかして小さい成功なのかな?

そして、過去のわたしのように、【隣の芝生がいつも青く見える~ッ】とモヤモヤする人へお伝えしたいことはひとつ。

隣のそれ、実は芝生じゃなくて大量のイガグリが敷き詰められているのかもよ。実は、寝たらめっちゃ痛いかもよ。

気にせず自分の芝生の養生しようよ。