地元・高知

土佐ジローを食べるぞ!はたやま憩の家へ【高知県・安芸市】

高知県に移住してから、ずーっと気になっていた場所。それが「はたやま憩の家」というところでした。

「はたやま憩の家」は、土佐ジローという土佐の地鶏料理が食べられる、珍しいお宿。

なぜここが珍しいかというと・・・

土佐ジローとは、「土佐地鶏」x「ロードアイランド」を掛け合わせて作られた高知の地鶏なんですが、そもそもは採卵用の鶏なんですね。つまり、鶏肉として食べるための鶏ではない。

なぜなら、土佐ジローは、ふつうのブロイラーに比較すると

「育てるのに3倍の時間がかかるが、身体の大きさは3分の1にしかならない」

というほど、”食肉にするには効率の悪い”鶏なんです。平たく言うと、儲からない。

なんですが、それでもその土佐ジローの味わいに目を付け、あえて食肉用として飼育するという困難なことに挑戦しているのが、「はたやま夢楽(むら)」という養鶏場。

そして、そこに付設する「はたやま憩の家」は、土佐ジローのフルコースを提供してくれる宿泊施設なのです。

土佐ジローの写真お借りしています

しかし事情があって、2021年3月で「はたやま憩の家」は営業を終了されると聞いて、なんとしても行っておこうと思い、オットの林業シーズンが本格化する冬の前に出かけることにしました。

同じ県内といっても、安芸市と四万十市は東西にどえらく離れていて、けっこうアクセスが大変なんですよ・・・

あき

さらに、この「畑山」というエリアは、安芸市の中心からも離れた、なかなか気合の入った山奥です。

行き違いの困難な細い道を乗り切り、

ずっと続く清流を眺めたりしながら、ふもとから30分くらい走るでしょうか。

 

そこらじゅうで「ゆず」が栽培されており、収穫期の今は、かすかに柑橘の良い香りが漂っています。

ひぇー、もう疲れた~というころに、ようやく宿に到着。

わたしたちは高知県に住んで5年目。
もう、細くて険しい道は慣れていますが(それでも疲れることは疲れる)、「都会から来て、久しぶりにレンタカーでクルマに乗った人」には相当ハードル高いだろうな~。

お宿のウェブサイトにもこんな文言が。

道が想像以上に悪かったことに対するご意見は県道を管理する高知県へ直接お伝えください。
道の事情に対して、当施設でご立腹されても対応できません。
あらかじめご了承ください。

「道の悪さに宿でご立腹」しないでくださいね。

さて、お宿は安芸市が所有する公共の施設なので、一般的な旅館というような華美な感じはありません。

こんな山を背負った・・・

一軒宿です。

お部屋は3つありますが、この日は高知県と愛媛県のお客で満室でした。
お部屋に入ってみると、こたつがセットされています。なんか嬉しい。

余談ですが、わたしはこたつが大好き。
でも我が家は「ダラダラしてしまうから」というオットの主張により、こたつが買えません。
ダラダラしたいから欲しいのだよ

それはさておき、お部屋は広くて、清掃が行き届いており、とても快適です。

ただ、壁が薄いので、「あれ?うち、4人グループだっけ?」って思うくらい、隣室の夫婦の会話はよく聴こえました。

お宿は温泉が引かれているのですが、ボイラーで沸かすため、(重油代が高いので)夕食前にしか入れません。
お宿のウェブサイトからお借りした、お風呂の画像。
なんかちょっと懐かしい感じの風情。
豪華ではないけど、気持ちのよい温泉でした。

食事は18時から、30分おきに、1組ずつ進行します。
わたしたちは19時からとなりました。

夕食まで時間があったのですが、この宿はまずテレビがありません。

さらに、auとソフトバンクしか通じないので、ドコモ(系列の格安スマホ)ユーザーであるわたしたちはネットも通じず。

なので、本を持っていくことをおすすめします。

この日は、この本を読んでいました。なかなかおもしろかったので、また別途レビューしたいと思います。

そうこうしているうちに、19時になりました。
今回は土佐ジローのフルコースでお食事をお願いしています。

まずは前菜。土佐ジローの肉巻き、酢の物、そしてゆずピール。これだけでずっとビール飲める感じ。

そして、「土佐ジローのたたき」を頂きます。しっかり塩味のついたたたきですが、ポン酢をつけるとまた別の美味しさ。

そしてメインとなる炭火焼き。
すごい色んな部位!ていうか、色がきれい!

「元気いっぱいでめちゃくちゃ運動する」のが土佐ジローなので、その肉質もすごくしっかりしています。

美味しさを最大限引き出すには、熱の入れ方が超重要!

というわけで、炭火焼きの前半は、宿のオーナーの小松靖一さんが自ら焼いてくれました。
3組のお客さんに全部こうして「焼き」の手本を見せてくれるので、30分ずつずらして夕食時間となるわけです。

はたやま夢楽で、食肉用の土佐ジローを育てることに人生を賭けているこの小松さんと、奥さんである圭子さんは、高知県ではかなりの有名人ご夫婦。

・土佐ジローに賭けるお二人の艱難辛苦。
・職人肌のご主人と、それを世に送り出す敏腕実業家の奥さん。
・25歳というご夫婦の年齢差(ご主人が上)。
・奥さんの熱意でほぼ
「交際0日」で結婚したというなれそめ。

ストーリーが渋滞しています。誰が聞いても興味惹かれますよね。

最高の状態に焼けた土佐ジローは、しっかり噛み応えがあるんだけど、硬いとは感じない。

げ、うまい。

噛みしめると味わいが増す感じで、スルメみたいにずっと噛んでいたくなる感じ(笑)

よりびっくりしたのは「胸肉」。
通常、胸肉といえば、モモ肉よりパサつきがちで調理に気を遣う部位です。

それが、噛んでみると、さっくり、しっとり。
もしかしたらモモより美味しいかも?と思うほど、美味しい。

もうこうなると、ハツとか砂肝とか皮とか、美味しくないわけがない。

一口ごとに「うーん」「なんかすごい」「美味しい」と夫婦ふたりでブツブツ言いながら食べ続けました。

ちなみに、後半はセルフで焼きます。
小松さんの焼き方を思い出しながら、慎重に・・・

トサカや白子といった、稀少な部位も楽しみつつ、炭火焼きを完食。

この時点で、すでにまぁまぁ満腹だったのですが、続いて、すき焼き。

このすき焼きは完全にセルフで火加減調整します。

土佐ジローの肉に、土佐ジローのたまごをつけて食べるという贅沢。

すき焼きって、ふつう家ではグラグラ割り下を沸かして、牛肉に火を通す感じなので、ここでもついついそんな感じにしてしまいます。

気づいたらちょっと加熱しすぎたか・・・

少々、硬くしてしまったみたいで残念でした。
が、それでも十分美味しかったのですが。

そして、〆には親子丼。いやー、もっと空腹で食べたかったな!
わずかに残してしまったことは悔いが残ります。

土佐ジローよ、ありがとう!

ちなみに、すき焼き→水炊きに変更も可能。
すき焼きからの親子丼はかなり味濃いめになるので、水炊きのほうが良かったかもと思います。でもすき焼きも食べたいよね。

食事のあとはやっぱりすることがないので、外で星を眺めたり、夫婦それぞれ本を読みながらゴロゴロしているうちに、早々と就寝。

翌朝。

さわやかな朝です。

前夜、思いきり食べた割には、ふつうにおなかが空いていました。
朝ごはんはこんな感じ。

たまごかけご飯、焼いたアメゴ、おひたし、(たぶん鶏のだしの)お味噌汁。

シンプルで、これ、最高に美味しい朝ごはんでした!

特に「アメゴ」という川魚。
高知にいるとちょくちょく出てくる魚で、「渓流の女王」と呼ばれるそうです。

わたしは焼き魚全般にそれほど執着がないんですけど、高知に住んでから、アメゴは大好きになりました。

クセがないけど味わいはしっかりしている。
頭からしっぽまで全部食べられます。

これとたまごかけごはんっていう組み合わせは素晴らしい。

ありがとう土佐ジロー!

なんかご飯の話ばっかりになってしまいましたけども。

今回は、様々なストーリーが語られるこの宿がどんなところなのか、話に聴いていたことを体験できて、とても貴重な”修学旅行”となりました。 

来年3月までに、もう1度くらい行けたらなぁ~        

GoToTravelの対象ではないので特に割引などはありません。ご注意ください(2020年11月現在)