地元・高知

隈研吾展に行ってきました【高知県立美術館】

こんにちは、ななみです。

2020年11月3日 から 2021年1月3日まで、高知県立美術館で開催されている「隈研吾展」に足を運んでみました!

高知県立美術館は、ゆったりしていて大好きな場所のひとつです。
いつもだいたい空いているのが最高・・・
ここに慣れると、都会の混雑した美術館には戻れないです。

今回の展覧会のタイトルは「新しい公共性をつくるためのネコの5原則」
・・・ちょっと意味がよくわからないので、高知県立美術館サイトの説明を(少々長いけど)抜粋。

本展は隈建築の中から公共性の高いものを中心に30件を選び、全点に隈自身による作品解説をつけて紹介します。公共性といっても、新築の庁舎のような大きな公共建築だけでなく、リノベーションによる居酒屋のような小さな建築も含んでいるのがポイントです。それらが「孔」「粒子」「ななめ」「やわらかい」「時間」という隈が考える5原則によって分類された上で、模型や写真やモックアップによって紹介されます。

(中略)

さらに、ネコの視点から都市を見直すリサーチプロジェクト《東京計画2020 ネコちゃん建築の5656原則》も発表されます。今の時代、都市についてなにかを提案するとしたら高度経済成長期のように都市を上から見るのではなくて下から見るべきである、そう考えた隈が着目したのは、なんと動物のネコでした。

(中略)

コロナ禍というきわめて難しい時代の中で開催される本展が、新しい公共性や未来の都市のあり方について考える機会となれば幸いです。

建築のことはサッパリわかりませんが、隈研吾さんは高知県立林業大学校の校長まで務めている方ですから、ご縁があります。
これは行っておかねば!

コロナ対策で、事前のネット予約が推奨されていますが、実際には予約なしでも入れると思います。要ご確認。

隈研吾展チケット予約サイト

検温、手の消毒etcを経て、展覧会内部に入ります。

基本は「建物の模型」+「隈さんによる解説」+「現物の写真」といったスタイル。
ものによっては、「動画」なども加わります。模型の大きさも、それぞれ異なる。

全部で30点ほどなのですが、いくつかわたしが気に入ったものを抜粋します。

まず見えたのが、シドニーのExchange(マーケットホール、図書館、保育園、飲食店)。
木製のスパイラルが建物を囲っています。これはなんだか感じが良い。
こんな中にある図書館や保育園はいいですよね。


そして、北京の「前門」。
前門とは北京の旧市街の中心で、「昔ながら」の北京がずっと残っていた場所でした。それがめちゃめちゃモダンに変身。

どうもこれは模型を写真で撮ってもあまり伝わりません。
隈研吾事務所のサイトから詳細が見られます。

ガラスやアルミを多用した、透明感がありかつ未来的な、とても素敵な建築です。

がしかし、昔の中国、前門が好きだったわたしにとっては、なんとも言えない気持ち。

あのガヤガヤして、埃っぽくて、一番北京らしい風情の残っていた場所は、完全になくなっているんですね。

とはいえそれは勝手な感傷でして、中国は都市の人口増が激しくて、このあたりも雑多に人が入り、スラム化していたそうなので、これも必要な変化だったのかもしれません。

いきなり変わって、新潟の長岡市にある「アオーレ長岡」
長岡市役所の庁舎に付随して、店舗や銀行、広場などがあります。
ここはかなり大きな展示がされていました。

アオーレ長岡については、映像による紹介もされていました。
食事や買い物はもちろん、子どもたちがスポーツをしたり本を読んだり、待ち合わせをしたりと、市民に愛されている様子が伝わります。

実は数年前に長岡に行ったときに、ここを訪れていました。

西新宿?と思いそうな立派な建物で、そのときは「長岡に住みたくなっちゃうじゃん!」と思って見ていたのですが・・・

実際に自分が地方都市住まいになってみて、もしこの建物が四万十市にあったらと考えてみると・・・

それは嬉しいけど「維持費がかかりそう」「財源は税金でしょ」とか色々考えてしまいそうです(笑) まぁ長岡市と四万十市では規模が全然違うので考えてもしょうがないのですが。

そして何と言っても新国立競技場
展示も充実しています。

競技場の建築には、47都道府県の杉(沖縄県のみ、リュウキュウマツ)が使われているそうです。  

 競技場のシャンデリアは現物が。

東京でいえば、JRの高輪ゲートウェイ駅もありました。

町全体が「隈研吾博物館」ともいえる、高知県梼原(ゆすはら)町の美しい映像が流れていました。

 

梼原町には、「雲の上の図書館」という素晴らしい図書館をはじめ、複数の隈さんの設計建築物があります。

 

これは心底うらやましい施設。

さて、展示で面白かったのは、富山県富山市の複合施設、TOYAMAキラリ
ここも図書館・美術館・店舗などが入った、市民の憩いの場です。

この模型ではわかりづらいですが、実際はガラスや木、吹き抜けを駆使した、未来的な建物です。

ここでは、VR(ヴァーチャルリアリティ)を利用して、実際にこのTOYAMAキラリの中を歩いて回っているような体験ができます

 

 
VRって、本当にリアリティあるんですね・・・(語彙・・・)

ドローン撮影の映像を自分の視線で見られます。
あたかも「鳥になったかのように」建物内を動いているようなイメージ。
実際に見に行くよりも面白いかもしれない。VR凄い!

ただですね。

VRって、なぜか「車酔い」みたいになります。
(注:個人差あります)

せっかくですが、わたしは最後のほうは気持ち悪くなってしまいました
(;´・ω・オエ)

あっ

2018年にスコットランドに開館した「V&Aダンディー」という隈さんの作品があります。

ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)の分館にして、 スコットランド初のデザイン美術館だとか。米TIME誌により「2019年、世界で訪れるべき最も素晴らしい場所100選」のひとつにも選ばれたそうです。
こちらも展示があったのですが、展示が大きすぎて、写真がうまく撮れませんでした・・・

なので写真を掲載しておきます。

美術手帖より写真をお借りしました。)

展覧会を訪れたらご覧になってみてください。

さて、そんなこんなで1時間強くらいで終了。
展覧会全体のボリュームはそんなにありません。

全体の感想を正直に述べると・・・

まず、建築や設計の「展覧会」っていうもの自体が、そもそも難しいんだなと感じました。

建造物は、実物(!)を並べるわけにはいかないので、どうしても「模型」や「写真(動画)」が中心になりますよね。

うーん、なんともむずがゆい感じ・・・
でも絵画や彫刻と違って、国立競技場とか運べないし。

もしかすると建築に関わっている人なら模型や画像、もしかして図面だけでも学ぶところ、感じるところが大きいのかもしれません。

が、一般客としては、「模型を見ている」以上でも以下でもないんですよね。

今後また同じような催しがあって、1300円払って行くかと問われると、微妙です。

ただ、世界に点在する、隈研吾さんの仕事が一度に見られるのはオモシロい取り組みだし、世界中の主要な都市で日本人の設計・建築が喜ばれていると知ったのは良かったです。

この記事を書くにあたって、隈研吾建築都市設計事務所のサイトを参考にさせて頂いたのですが、そこにある隈研吾さんのWORKS一覧を見て驚きましたよね。

「え、あれも、これも、隈さんの設計?」

身近なところでは、二子玉川高島屋ショッピングセンター、京王高尾山口駅、JR渋谷駅、根津美術館、ティファニー銀座店etc

知らず知らずのうちにお世話に(?)なってます。

高知の、芸術の秋の1日でした。