小さな林業の始め方

【木曜更新】オットの連載 小さな林業の始め方 ⑲ 自伐DIYのすすめ

yasu
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こんにちは、ななみのオットのヤスと申します。46才で脱サラし、高知に移住して自伐型といわれる小さな林業を5年間実践してきた本人の目から見た、その林業の世界を紹介したいと思います 

私が取り組んでいる”小さな林業”である自伐型林業の魅力はたくさんありますが、中でも、林業のオフシーズンにもってこいなのが、自伐DIYです。

つまり、自ら伐った木材を使ったDIY。

これは基本的に趣味の世界なので、使い方は自由です。

ただし、1つだけルールがあります。
それは間伐した木の端材を使うことです。(勝手なマイルールです)

間伐した木の中で、杉、ヒノキの太くて通直な部分は、3mや4mといった規格化されたサイズに造材して出荷し、建築用材などに活用してもらいます。

林業シーズンを終えると、林内には売り物にはならなかった部分、いわゆる「端材」がゴロゴロ転がっています。

広葉樹の多くは私自身や山主さんが薪として使いますが、薪にもならないような端材や、杉・ヒノキの端材はDIYで使います。

CONTENTS

自伐DIYの定番、丸太椅子

まずは自伐DIYの定番、丸太椅子です。

皮を向いて断面を平にすればほぼ完成です。
仕上げにサンダーか紙やすりを使って面取りや座面を磨くと、なお良し。
今の時期は水分を含んでいるので皮が綺麗に剥けます。(これはヒノキの丸太)

端材だからきれいに整った丸太よりも、どちらかというと不格好な丸太が多いですが、それも個性的なデザインで面白い。

チェンソーアート、とまではいかなくても

チェンソーの扱いに慣れてきたら丸太をチェンソーで削って作品を作ることも出来ます。

あるいは鉢植えに

パラソル台にも

チェンソーの微妙なタッチの訓練にもなるので、本業のチェンソーワークにも役立ちます。

(くれぐれも安全対策は忘れずに!!)

自伐DIYに目覚めたきっかけ

実は、林業を始めた当初から積極的に自伐DIYをしよう!としていたわけではありません。

きっかけは薪棚作りでした。

薪棚をDIYで作ろうと考えたのですが、最初は、部材をホームセンターで調達する普通のDIYを想定していました。

ネットでいろいろ見ていくと2×4(ツーバイフォー)材(※)が扱いやすそうだということが分かってきます。

2×4(ツーバイフォー)材(※)
アメリカの住宅工法で一般的に使われる部材で、元々は断面のサイズが2インチ(50.8mm)×4インチ(101.6mm)だったのがその名の由来。現在は1.5インチ×3.5インチ程度になっていますが、名称はそのまま使われています。

実際にホームセンター(以下:ホムセン)で部材を見比べると、確かに2×4材は他の部材などと比べると、サイズ的に扱いやすく加工もしやすそう。
加えて色合いや木目のバラつきも少なく、製品としての完成度も高い印象です。

しかも、安い!
何軒かホムセンをハシゴして見ても(余談ですが、四万十市周辺はホムセンが豊富なんです!)、どこも2×4材が充実していて、しかも安い。

オット
オット
よし、2×4材で薪棚を作ろう!

そう決めて、簡単な設計図も作成し、必要な部材の量も割り出します。
そして、いざ買い出し。何軒かで比較検討した結果、あたりをつけたホムセンに向かいました。
売り場で部材を確認し、レジに運ぼうと手を伸ばしたその時、それまで気にもとめなかった商品説明の文字が目に入ります。

「スウェーデン産」

オット
オット
おや?

はずかしいことに、林業に関わっていながら、それまで、ホムセンで売られている木材がどこから来たものなのかも知らずにいました。

どうも引っかかってしまい、その場では買うことが出来ませんでした。
一時、退散。

改めて良く調べると、2×4材の主流はSPF材と言われるもので、これは北米産のSpruce(トウヒ)、Pine(松)、Fir(もみ)を使ったものでした。

他に欧州のホワイトウッドを使ったものもあり、それが私が買おうとした木材です。

いずれにしても主流は外国産材です。
そして、ホムセンで見比べて、値段の割にはイマイチだと思ってしまったのがスギの国産材だったのです
(これは樹種としてスギが劣っているということではなく、DIY用の部材としての魅力に乏しかったということです)

ここにも、外国産と国産の木材の商品力の差をまざまざと見た思いです。
(現在はウッドショックの影響で状況が変わっている可能性があります)

とはいえ、私は元々、木材の自給率アップに貢献することも林業を始めた動機の1つなので、そう安易に外国産材を使うわけにはいきません。
かといって、イマイチな国産材を買おうという気にもならない。

オット
オット
ん??この国産材を使う気にならない心理は、もしや、外国産材が主流の住宅建材の世界と共通なのでは??

オット
オット
いかん、いかん。なんとか国産材を盛り上げねば!

そこでコペルニクス的転回で、それならば山に残った端材を使おう、となったのです。

その時作った薪棚第1号

そして第2号。多少曲がっていても、凸凹があっても気にしません。

この薪棚たちは、その後数年の間に激しい台風や大雨、はたまた大雪にも見舞われましたが、いまだにしっかりと役割を果たしています。

板に出来れば可能性が広がる

自伐DIYの世界をさらに大きく広げるのがチェンソー製材です。

山で丸太を板にすることが出来ると可能性が広がります。

(私が使っているのはアメリカ・グランバーグ社のスモールログミルです)

棚にも出来るし

足をつけてテーブルにしたり

ちなみにアイアンの脚はAmazonで。
最近はホムセンでも扱うところが増えました。

板をひいた残りの半割はベンチに

丸太椅子と組み合わせれば、個性的な陳列台にもなります

縦びきなので、ソーチェーンの目立て角度はフラットに近い方が良いです。

端材の使い方は自由自在

広葉樹の端材も面白い。

台や椅子の脚に

あるいは傘立てに

端材達の個性的なデザインを見ていると、いろいろと創造力を喚起されます。

自伐DIYの魅力はなんといってもその「即興性」と「自由さ」です。
設計図はいりません。
その場にある端材の形状から発想する、組み合わせをいろいろ試してみる。そのような中からこの世にたった一つの作品を生み出していくこと。

そして、ホムセンではイマイチに見えたスギも、実際に自伐DIYで使ってみると、

  • 柔らかいので加工がしやすい(チェンソー製材にも向いている)
  • 軽くて持ち運びしやすい
  • 木目や年輪がはっきり浮き出て見栄えがする

と、わりと良い事づくめだと気づきます。

木材の様々な使い道、一緒に考えていきませんか?

それではまた次の記事でお会いしましょう。

 

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