国内旅行

辻仁成さんの個展(絵画)へ。44万円の絵の前で1時間悩むの巻

わたしの推しである「辻仁成さん」、なんと東京で初めての絵の個展があるという!!

しかも、それがわたしがたまたま東京にいる期間とちょっとだけかぶる。
(個展開催は、2/28-3/5)
奇跡ですよ。

すっとんでいきたいところですが、悩みがひとつ。
これ、美術展ではなくて、個展、つまり展示即売会らしい。

会場は新宿伊勢丹のアートギャラリー=画廊なんですよね。

正直、絵は見たいけど、買う予定はない。

つまりそれって「冷やかし」になって失礼なのかしら。

シーンと静かな中で、店員(?)さんにぴったりくっつかれて、「こちらいかがですか。お求めやすい100万円です」とか勧められたらどうしよう。

と、かなり悩んでいたのですが、当日X(Twitter)で見ていたら、

「行ってきました!かなりの混雑」
「すでにほとんど完売~」

なんていう(開始2日目にして!)投稿があった。

おっと、これなら、

ななみ
ななみ
アラお金下ろしてきたけど、売り切れで残念だこと

って顔してればよいのではないか。(→現金払い?)

そういうしょうもないことをわりと真剣に考えながら、思い切って出かけてきた~

新宿三丁目駅から直結で便利。

デジタルポスター。

 

会場内は撮影禁止なのでその写真はないのですが、何よりビックリしたのは「現代アート」っていうのは、額装とかしないものだっていうこと。

なので、絵が「むき出し」で壁に掛けられており、しかも規制線とかもない。

こんな無防備?

やろうと思えば「顔がくっつきそうな距離」で見られるわけで。
(そんな変な人、伊勢丹にはいなかったけど。)

それに、うっかり転んで、絵にバーンって倒れこんだりしたらどうするんだろ…
(そんな変な人、伊勢丹にはいないって。)

なんか妙にそこが気になりつつも、38点の絵画をゆっくり眺めました。

主に、辻さんのアトリエがあるフランスのノルマンディー地方を舞台として、この38点の絵画が1つの物語となっている、という構成。

ご本人の言葉をお借りすると

一つ一つの絵の解説は、観る側のものなので、深くは説明しないが、この風土の中で長い歴史を抱え、生きてきた人たちの、しかし、今は見えないものたちのまなざしと静寂が描かれている。

とのこと。

全体にモノトーンの色調が多いけれども、中には青、赤、金、緑などの原色がパッと使われている。それが不思議と、うるさくなくて、なぜかずっとこの色を見ていたいという気持ちにかられる。

さらに特筆すべきなのは、ほとんどが「パレットナイフ」で描かれていること。

わたしが現代アートに詳しくないので(古代にも詳しくはないが)これは珍しいのかどうか知らないけれど、少なくともわたしはこういうタイプの絵を見たことはあまりなかった。

ナイフによって盛り上がった絵の具の力、削り取ったり引っかいたりと、その「質感」で迫ってくるパワーが凄い。

絵の鑑賞なんだけど、本を読んでいるような、あるいは映画を見ているような、不思議な気分に陥りました。

一言で言うと、ものすごく大好きな絵!!
欲しい!!

辻さんの絵がこんなにも自分の好みに合い、しかも買いたくなるとは、本当に自分が一番意外でビックリしました。

絵は好きでよく見るんですが、「所有したい」と思ったことは1度もなかったんですよね。

辻さんの絵は、大きいサイズ(畳より少し小さいくらい?)で、だいたい百数十万円。
(ほぼ完売しててなぜかホッ)

ちなみに、30~40万円台くらいの小さめのサイズのものは抽選販売ということでした。
まぁやっぱり、買いたい人が集中する価格帯なんでしょう。

大きい号数でも欲しい絵はいっぱいあったけど、価格もさることながら、現実的に飾る場所がないっつーの。

わたしがいいなぁと思って、さらに微妙に買えそうな価格だったのが、44万円の10号サイズ(長辺53㎝)。

44万円。
頑張れば(頑張るってなんだろね?)買えなくもない。
しかし気楽には買えない。

ほーんと絶妙なところ!!

欲しい、いやムリ、欲しい、いやムリ、欲しい、いやムリ、がこだまする頭の中。

そのうち、

これこそ「活きたお金の遣いかた」ってヤツよ

とか

カフェに飾るんなら、仕事の一部だしいいんじゃない?

とか

絶対値上がりするよ(→イヤラシイ)

とか

岩手で買い損ねた鉄瓶、あとでどんどん高くなって後悔したじゃん

色んな声が聴こえてくるぅ~!!

鉄瓶とか何の関係が。

買う以前に、とりあえず、当たらなければしょうがないし、抽選だけでも申し込んでみるとか…

と、ブツブツ言いながら悩み、鑑賞しながら、うろつくこと約1時間。

もう少しで、ギャラリー側から要注意人物指定を受けていたかもしれません。

しかしやっぱり、これから新事業を始めるわけでお金も必要だし、そもそもオットに相談もなく買うわけにもいかないし(抽選に当たってしまったら、キャンセルできないらしい)。

ななみ
ななみ
よし、抽選に申し込んだけど、外れたことにしよう!

というナゾのストーリーで、自分を納得させる。

せめて、と画集(図録)を購入してきました。
これがまた素敵な外装↓

ただ、上に書いたように、辻さんの絵の魅力は(わたし的には)、その色遣いと質感なのですが、「画集」では、その質感のほうは、ほとんどよくわからないのはやや惜しい。

それでも絵の購入を諦めた代わりの慰め?ということで、やっぱり買ってよかったです。

ちなみに、この画集は11,000円となかなかの価格。
辻さんが自費出版で、かなり限定された部数で作られたため、この価格にならざるを得なかったとか。

ふつうの美術展ならためらう金額ですが、40万の絵のあとでは、なんかすんごい安く感じて(→あるある)、そのおかげ(勢い?)で買えてよかった。

原画を見られる貴重な機会、本当に行けて良かったです。

やっぱりこういうものに限って言えば、東京でしかないチャンスですね。