思考

<味の素論争に首を突っ込む>好き嫌いは自由だけど、知ってるか知らないかは重要という話

突然ですが、味の素、使ってますか?

わたしは、自分自身では一度も購入したことがなく、使ったこともありません。

理由はわかんないのですが、強いて言えば「空気感」

わたしが20~30代のころ、つまり、実家から出て暮らし始めたころって、時代は「オーガニック」「無添加」「丁寧な暮らし」「体に優しい」というのがキーワード。

いや、今もそう?

ともあれ、もう味の素なんて言語道断、という雰囲気だったと思います。

がしかし、最近、突然味の素について考え直す機会がありました。

それがこの本、その名も『料理研究家のくせに「味の素」を使うのですか?』。

筆者のリュウジさんは手間がかからなくて美味しい料理で、まぁ今や説明するまでもない、トップランナー。

彼はふだんから味の素を超愛用しており、「味の素は毒だ、体に悪い」と言う”アンチ味の素”層から、「料理研究家が味の素使うな!」と猛烈な批判を受けていました。

で、その批判の中に、あまりにも「味の素について基本的なことを知らなすぎることによる誤解が多い」、というわけで、彼が真っ向から対応して書いた本が、『料理研究家のくせに「味の素」を使うのですか?』だったわけ。

ふだんはお酒飲みながら動画を配信したり

虚無レシピなんかも出していて、(時々)やぶれかぶれ感もあるリュウジさんなんですが、 

『料理研究家のくせに「味の素」を使うのですか?』の本の中身はいたってマジメ、しかもわかりやすい。

で、けっこう衝撃大きかった!

ざっくり「わたしが味の素について誤解していたこと」を挙げると

<誤解>味の素の原料は、化学的な何か(→このへんがそもそも適当)である
<正解>味の素の原料は、「さとうきび・キャッサバイモ・とうもろこし」で、発酵させて生成。

なんか思ったより、かなり自然な感じだった…。

<誤解>味の素を食べていると、味覚がバカになる
<正解>科学的になんの根拠もない

そうなんだ…

<誤解>ともかく、「味の素は体に悪い」よね?
<正解>安全性の高さは厳しい基準で完全に証明されている。そもそも味の素はすでに創業100年を超える老舗であり、その間、何の健康被害も出ていない。

老舗…

いや逆に。
じゃ、なんでわたし(を含めた世間一般)は「味の素=悪」みたいな考え方が浸透しているの?

一言で言えば単なる「風評被害」なんだそうです。
マジか。

かつて味の素=「化学調味料」という呼ばれたこと(今はうま味調味料という)の影響は大きかったそう。
これ、もともとNHKで味の素を使う機会があった時に、企業名・商品名を出せなくて使った言い換えワード。

高度経済成長期だった当時は、「化学=最先端」というポジティブなイメージで全然悪意はなかったのに、時代が変わるにつれて、化学という言葉のイメージが「自然じゃない」「作り物っぽい」というネガティブな印象になってしまったという不運…

昔は「味の素はヘビでできている(?)」というナゾのうわさもあったとか、ともかくこの手の風評被害とはずっと戦ってきた企業だったのだそうです。

がしかし、ある時期から、味の素(企業)側は、風評について声高に反論せず、「寝た子を起こさない」という姿勢に転向。

買う人はほっといても買ってくれる、でも、アンチにいくら弁明してもかえって火を注ぐだけ、と思い知ったんでしょうね。

ななみ
ななみ
もうなんだか気の毒になってきました

そんなわけで、リュウジさんの本を読むことでわたしの思っていた「デメリット」はほとんど思い過ごしであったことがわかった反面、逆に初めて知ったメリットもありました。

それは、味の素=うま味を補うことで、味を薄くしても満足感が得られる、つまり減塩効果があるということ。特に耳よりの情報でしたね。

いやー、味の素を見直したこと、ここ数年で、トップクラスの発見でした!

…と、ここまで盛大に書いてきてなんなのですが、これからわたしが味の素をバンバン使うかというと不明です。

長年の強力な刷り込みのせいか、まだ抵抗が完全には抜けきれない。というのが正直なところ。

ただ、たとえばどこかで「味の素」についての話になったときに、やみくもに否定するような人間にはならずに済んだ、というのが自分の中では大きいです。

ちなみに、今回(これも初めて)知ったのですが、味の素って賞味期限がないんだって。
なので、1本試しに買ってみても、死ぬまでに使い切ればいいと思うとちょっと気楽かも?