旅は、長野県は小布施(おぶせ)町に到着!お目当てはズバリ「北斎」!2回目かな?
小布施には2つの北斎関連施設があって。
ひとつは「北斎館」という北斎のためだけの絵画館。もうひとつは「岩松院」という寺。
北斎館は、すごく綺麗で、ひろびろゆったり。平日は人も少ないので、サイコ―なとこなんです。
エントランス。
ピカピカのホール。展示作品は撮れません。
休憩スペースもゆったり。都内では考えられん!
ここは、北斎の肉筆画(浮世絵の用語で、版画のためではなく絵師が自筆で描いた浮世絵を指す)が見られる貴重な美術館です。この日は富嶽三十六景なども展示されていて、版画の方もたくさん楽しめましたが、肉筆画もまた違った味わいがあります。
北斎は富嶽など風景のイメージが強いですが、実際は人物や動物が、すごくイキイキしてて、生命力にあふれていて、魅力的なんですよね。
また、北斎筆の天井絵が描かれた二基の祭屋台(長野県宝)も収蔵展示していて、これも珍しい!
そして岩松院のほうですが、ここでは、北斎の描いた「天井画」が見られます。
畳21畳分。この大作を80歳超えてから描いています。マジか・・・
鳳凰図で実物は色鮮やかなカラー!ぜひ現物を。
北斎は最晩年になって、この小布施に来たのは、この地の豪商、高井鴻山がパトロンになったから。
なんと80歳を過ぎてから4回も江戸から小布施に来ていました。
いまは電車で2時間の距離だけど歩きだよね。80歳過ぎて、どんだけ元気!?!?
そもそもパワーが常人ではない・・・
北斎は改号(名前の変更)が30回、引っ越しが93回だから、もう「変人」というか「奇人」というか。いやズバリ「狂人」。
最後の号を自分で「画狂老人 卍」としているくらいだから、まぁ言ってもいいよね。
北斎が人生で望んだことは「絵がうまくなりたい」だけで、それ以外のことは、お金には無頓着だし、家はゴミ屋敷だし、服はボロボロだし、人とはトラブるし、なんかもう人としてはひどかったらしい。
富嶽百景の有名な跋文(あとがき)に、こんなことを書いています。
私は6歳から、ものの姿を写す癖があった。50歳頃から多くの図画を描いた。しかし、70歳までに描いたものは本当に取るに足らぬものばかりである。73歳になって、鳥獣や植物の姿が少しばかりわかってきた。86歳になればますます上達し、90歳で奥義を極め、100歳になれば神技といえる絵に達するだろう。110歳になったら、一つの点すら生きているような絵が描けるだろう。長寿の神様には、この私の言葉が妄言でないことをご覧いただきたいものだ。
要は、「もっとやってやるから生かしやがれ」ってこと?
狂人と偉人の境目って、なんだろう。まぁ本人にとってはどうでもいいことなんでしょうね。
「好きなことで生きる」なんていう言葉では表しきれないような気がする生き方です。
到底理解やマネができる域ではないんだけど、北斎の絵を見るたびに「こんな生き方」を想いだし、元気になる!
北斎の絵を通してその人生を想像するとワクワクして、なんかこっちが元気になるという不思議な力があります。
夫は『なんか岡本太郎に似てる』というけど、確かにそうかも…
ゴッホ、モネ、マネ、ドビュッシーなどをはじめ、世界各国の芸術家に大きな影響を与えた北斎。日本人としても誇り。
1999年にアメリカの雑誌『ライフ』で「この1000年でもっとも偉大な業績を残した100人」として、日本人でただ一人選ばれてる。そんな人です。
ってわけで、機会があれば北斎に触れたいですが、都内の北斎展などはいつもすごい混雑しますよね~。もうアレが苦手で・・・
小布施なら本当に旅行がてらゆっくり鑑賞できます。おススメ!
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追記
ちなみにちょっと古い本ですが、高橋克彦さんの「北斎殺人事件」は浮世絵をモチーフにしたミステリーで、とっても楽しみつつ、小布施と北斎の知識を得ることができます。
読んでから行くと、より面白い。
(ただし、本としてはシリーズ1作の「写楽殺人事件」から読むことをお勧めします)