2023年1月に、「愛媛県の地域おこし協力隊の方が、地元の偉い人とモメて嫌がらせを受け、耐えきれなくなってその土地を出て行ったという話」について記事を上げました。
話題の動画はこちら。
以下、わたしが前回の記事で、動画の内容をかいつまんでまとめておいたものです。
- 30代のAさんは、1年前、東京から愛媛県・新居浜市の限界集落へ家族で移住
- Aさんの仕事は「地域おこし協力隊」
- Aさんの住む集落には、”何年も補助金をもらいながら、何も成果を挙げていない団体”があり、影響力を持っていた
- この団体は、問題が表面化しそうになると、そのときの地域おこし協力隊員に罪をなすりつけていた、と思われる
- この地域では多くの協力隊員がこれまで辞めていった実績がある
- Aさんは、この団体のためには働きたくなかったので距離を置いていた
- すると様々な嫌がらせを受けるようになった
- やがてAさんは体調を崩し、救急車で運ばれるほどに
- 結局、Aさん一家新居浜市から離れ、別の場所へ転居(東京へは戻らず)
前回、わたしは
今回の動画の内容ですが、あくまでAさん側の話だけなので、100%鵜呑みにはしてません。相手側にも言い分はあるでしょう。
と書いたのですが、2023年4月7日、NHKの番組で、この問題を深く取り上げたものがあって、それを見ていろいろわかったことがあったので追記します。
上に挙げた地域おこし協力隊の方(柳生さん)、そして相手方のAさん(和田さん)。
どちらも実名・顔出しで出ておられました(その点について、立派だと思います)。
このテレビ番組は、柳生さん、和田さんのどちらにも偏りすぎず、なるべく公平に報道しようとしている意識がうかがえました。
前回柳生さんの動画から得られた情報に、実名&今回のNHKの番組から知りえたことを追記して黄色ラインで補足すると、こうなります↓
- 30代の柳生さんは、1年前、東京から愛媛県・新居浜市の限界集落へ家族で移住
- 柳生さんの仕事は「地域おこし協力隊」
- 自治体からは、「2割は地域のために時間を割いてほしいが、8割は自分のために動いていい」と言われていた
- しかし2割の仕事について、自治体からは何をしろというはっきりした指示はなかった
- 柳生さんの住む集落には、”何年も補助金をもらいながら、何も成果を挙げていない団体”があり、影響力を持っていた
- この”成果を挙げていない団体”の中心人物が和田さん。そのの事業とは、サトウカエデ(メープルシロップの原料)や、朝鮮人参の栽培
- しかし、これらの農作物は10年経ってもほとんど育っておらず、将来性は不透明(というより、ほぼ望みなさそうに見える)
- この団体は、問題が表面化しそうになると、そのときの地域おこし協力隊員に罪をなすりつけていた、と思われる
- この地域では多くの協力隊員がこれまで辞めていった実績がある
- 意外にも、和田さんと柳生さんは初めはかなり仲良くやっていた
- ただし、柳生さんは、将来性の感じられない事業
この団体のためには働きたくなかったので距離を置いていた - 自分の団体の事業のために働いてくれない柳生さんに対し、和田さんは徐々に不満をつのらせるようになった
- 柳生さんは、やがて様々な嫌がらせを受けるようになった
- やがて柳生さんは体調を崩し、救急車で運ばれるほどに
- 結局、柳生さん一家新居浜市から離れ、別の場所へ転居(東京へは戻らず)
自分がやってきた事業を成功させたい、そのために協力隊に働いてもらいたい和田さん。
それは自分がやりたいことではない(義務もない)と思った柳生さん。
柳生さんの動画だけではちょっとわかりにくかったこの点が、今回のテレビでよくわかりました。
今回のNHKの番組で、最後にこの2人に同じ質問がされていました。
「地域おこし協力隊は何をする人だと捉えていますか?」
- 柳生さん→協力隊の最終目標は定住なので、自己実現をするために来た人だと思っています
- 和田さん→まず大事なのは地域の活性化。そうすることで定住できる、定住だけでは地域が活性化しない。地域おこし協力隊とはそういうふうなものだと思うんです
つまり、地域おこし協力隊は、柳生さんにとっては「手段」、和田さんにとっては「目的」なんですね。
いや、嚙み合わなさすぎ。そりゃもめるよね。
実際には、双方とも「100%手段」とも「100%目的」とも思ってないのでしょうが、その線引きのラインがズレてしまったんでしょう。
実は、柳生さんが上げたもともとの動画では、和田さんの姿が見えなかったので、どうしてもかなり感じの悪い人を想像してしまいました。
しかし、今回のNHKの番組を見て、本来はそこまでイヤな人じゃないんだろうな、と感じられました。NHKの伝え方は、かなり公平性を意識していたんだろうなと思います。
ただ、和田さんがやっていた事業(サトウカエデと朝鮮人参)は、正直、見込みがなさそうでしたので、そこは失敗を認めるべきだったと思います。
動画だけじゃわからないことたくさんありますよね(当たり前だけど・・・)。
そして最後に重要なこととして、そもそも地域おこし協力隊制度をやっている国が、もっとちゃんとやれよ!という話がある。
とりあえずお金と人をばらまいて、あとは地方自治体に投げっぱなし。
きちんとした理念がなく、入口だけ作って出口が適当。
そんな状態が伝わってきます。
だから、協力隊員のほうも受け入れる側も、迷うことが多いんだと思う。
これ以上、協力隊に関わることで不幸になる人が出ないことを祈りたいです。