こんにちは、ななみんです。
今日はタイトル通り、「都会で働く女性の癒しになる小説3選」のおすすめです。
先日は、自分が疲れている!!とさわいでましたが。
https://nanami-k.net/gift-from-the-sea/
やっぱりどう考えても、都会にいるほうが疲れてた!!
もう、疲れの種類が違う。
そういうとき、本を読んでちょっとラクになったり、楽しくなったりする瞬間があると、ずいぶん救われた気がしたものでした。
今日、紹介するのも、そういう「気持ちがほぐれる」本です。
都会が舞台なので都会に住んでいるほうが親近感はあるかもしれませんが、本質的にはどこに住んでいる女性にでもおすすめ。
CONTENTS
都会で働く女性の癒しになる小説3選
1.ときどき旅に出るカフェ(近藤 史恵)
とある街中のカフェ。
店主は、毎月1週間は休みを取り、その間に旅に出て、旅先の国や街の食べ物や飲み物を再現してカフェで提供するというコンセプトのお店。
たとえば、ドイツのツップフクーヘン。
チーズケーキのビスケット生地の部分をココア味にして、ケーキの表面にもココアの生地をちぎって散らしたケーキ。
ドイツ料理なのに、「ロシア風ツップフクーヘン」という名前の不思議なお菓子です。
イメージとしては、ダルメシアンみたいな柄(の、ケーキ)。
?
でもカフェでチーズケーキとチョコレートケーキと言えば鉄板の人気メニュー。
合わせたら美味しいだろうな・・・
という具合に、まるでその土地を旅しているような気分になるお店なのです。
店主は、葛井円という若い女性。
そこに集まる女性たちの小さな事件や、日常生活でのもめごと、円の抱えた秘密をめぐる話が、カフェの美味しいメニューとともに展開されていきます。
近藤史恵さんの作品は好きでよく読みますが、一言で言うと、「骨太」。
仮に「女性」「カフェ」「スイーツ」など、ほんわかした題材を扱っていても、決しておとぎ話ではなく、シュールなんですよね。
だからこの本を読んでいても、明日の自分にも起こりそうなことばかり描かれていて、つい引き込まれます。
一方で、カフェの中では、世界中の知らない食べ物、飲み物に引っ張られて、まったく違う世界に連れて行かれる。
現実は大変だけど、そのふとしたスキマには楽しい旅の空想へ運んでくれるカフェ。
実際にあったらステキですね・・・
装丁も綺麗なこの本、ぜひ一度読んでみてください。
2.れんげ荘シリーズ(群ようこ)
あの「かもめ食堂」をぶっぱなした群ようこ先生。
”かもめ食堂”は、北欧という女性にどストライクな要素を武器に大人気を博しましたが、「れんげ荘」シリーズは、むしろそれに挑戦するかのような地味な題材のオンパレードです。
主人公は45歳の独身女性、キョウコさん。ある日突然有名広告代理店を辞め、「月10万円ずつ、貯金を崩しながら生活する」というカツカツの生活に転身します。
都内の安アパートに引っ越し、古い家ならではの暑さ、湿気、虫、寒さなどを耐え忍ぶ。
一応「都内」ってなってますけど、これけっこう田舎移住の話と似ていますよね。
快適さや便利さと引き換えにして得た暮らしは、小さいけれど丁寧な暮らし。
鳥の声を聴き、ゆっくりお茶を飲み、本を読み、近所の人と交流する。
群さんが上手なのは、こうした中でも「オーガニックなものを食べ」「物々交換でエミリオプッチの洋服を頂く」「森茉莉の世界を空想する」など、キョウコさんがみじめにならないギリギリの線を描くこと。
ん、これなら、ありかもな。
・・・と、想わせるところがすごいです。
会社を辞めて自由に暮らしたい。でもお金はない。少ないお金でそれなりに暮らせるならら、贅沢はなくても、そういう人生もありかもしれない・・・
そういうことは、働く女性なら誰でも1度くらい思ったことがあると思う。
それを疑似体験できる本なわけです。
本当ーーーに会社が嫌になったら、こんな選択もありさ。
という、最後のよりどころになるかもしれません。
シリーズはもう3作まで。人気あるんですね。
3.マカン・マランシリーズ(古内 一絵)
なんと主人公はドラァグクイーン!
ドラァグクイーンとは、趣味やプロのパフォーマー、性的指向としてなど、理由はさまざまですが、女装する人たちを大きく含めた言葉です。
そんなドラァグクイーンの「シャールさん」が経営するお店は、昼間はダンスのためのきらびやかなドレスを作り、売るところ。
そこでお針子をする妹分たち(これもドラァグクイーン)のための夜食を出していました。
その夜食に惹かれた人々がじわじわと集まり、いつの間にか知る人ぞ知る「真夜中の夜食カフェ」になったのが、マカン・マラン。
マカン・マランとは、インドネシアの言葉で「夜食」という意味。
男性でもあり、女性でもあるシャールさん。
体と心をいたわるシンプルな料理をみんなに提供します。
おだしと冬野菜だけの煮込み。陰陽を考慮したハーブティ。スパイスたっぷりのカレー。
それぞれのカラダと心の悩みに合わせて出してくれるお料理が、人を素直にしないはずがない。
世間と一線を画した世界で、マイナーな生き方をせざるをえないシャールさんの前だからこそ、みんな強がりを言わなくて済む。
他人の前のほうが、ホッとできるっていうこと、あるのかもしれない。
素顔はハンサムで、優秀で、かつてはエリート街道まっしぐらだったシャールさんの秘密にもどんどん引き込まれます。
この本を読んでいると、「あーシャールさんに話を聞いてもらいたいわぁ」と思うのと同時に、自分も誰かに優しくしたいな、とか、美味しいものを作って食べたい、食べさせたいな、と「与える側にも行きたい」と自然に思えるから不思議です。
もう4作目まで出ていて、完結しています。
作者の古内さんは、中国語翻訳者でもあるという異才の持ち主。
うらやましい才能です。
ななみん’s VIEW
女性が書く女性向けの小説は、ときどき、直視するのがツライ。
あまりにもリアルで、部分的に、自分の経験と同じだったりするからです。
でもだからこそ、登場人物の気持ちにぐっと寄り添えるし、いっしょに救われる感もひとしおなのかもしれません。
イライラする前に、本を読みましょう♥