先日、IKEAにひとりで行ったときのこと。
あまりの広さに(→わかってんだろ)疲れてしまい、とりあえず自販機コーナーで一休みしようと立ち寄り、いすに腰かけて「何買おうかな」と考えていたところ。
ふと見ると、60代くらいのご夫婦が、店員相手に何かギャンギャン叫んでる。
妻「あのさー、どういうことなの?わったしたち、ヒマじゃないんですけど?」
夫「これはさぁ、顧客対応として不適切でしょう。いくら外資系だからって。ここは日本だよ?カスタマーロイヤリティ下げるよ、こんなことやってると」
事情はわからないんですが、
とちらっと思ったりしていました。
妻「ちょっとさー、偉い人呼んできてくれって言ってるわけ。あーたじゃ、これ以上わかんないんだよね?もうさ、カンベンしてよ」
見た感じ、きちんとしてかつお金のありそうな身なりのわりに、奥さんの言葉遣いがどうもチグハグ。簡単に言うと元ヤンキーみたいである。
対応している店員はといえば、かなり若い男性。
年配の夫婦にこうまくしたてられては、ひとたまりもない。
いやぁ、なんかかなり、大きな事故が起きたのかな。
妻「だいたいさぁ、どうして、CCレモンを押して、コーンスープが出てくんの?」
想像よりスケール小さい!
でもCCレモン期待しつつのコーンスープはきつい。
というか、押し間違いでは?
夫「押し間違いかと思ったら、この自販機、コーンスープどこにもないじゃないか!!」
50年生きてるけど聞いたことないケース!!
妻「自販機はIKEAの管理じゃないから、自販機会社の担当が来るまで待てって、おかしいじゃん!」
確かに、それはどうなのか。
それまでIKEA側に同情していたわたしの気持ちは、ちょっと夫婦のほうに振れました。
夫「キミが140円立て替えたら、話が早いだろう!」
若い店員はひたすらペコペコするばかり。
勝手に140円払ってしまったら、今度は上司に怒られるよね。
ということは、
なんで。
いや、まぁ別にいいけど、ほぼ大岡越前。
そこへ今度は関係のない若いカップルがひょっこりやってきて、「どれにしよっか♪」などノンキに自販機でドリンクを選び始めた。夫妻がここぞとばかりに話しかける。
妻「あのね、そこで買うと、大変なことになるよ!」
カップル「え???」
夫「レモンがコーンになるから」
しかし若いカップルは怪訝な顔をするでもなく
カップル「そうなんですか?怖いなあw」
などと言いながら(いい人たちである)、ミルクティのボタンを押した。
ミルクティが出てきた。
全員が一瞬無言になる。
にこやかにその場を立ち去るカップル。
やや残念そうな(推定)部長夫婦。
ほっとする若い店員。
どうしたら笑わないでいられるだろうと、何か悲しい経験を思い出そうとするわたし。
そこへ、若い店員にようやく助け舟登場!
少し先輩っぽい人がやってきた。
夫婦は改めて、自分たちの不幸を語りだす。
CCレモンが飲みたくてわざわざここまで(どこから?)来たのに、コーンスープになってしまった。
隣のボタンを押し間違えたとかならともかく、この自販機にひとつもないコーンスープが出てくるなんて受容しがたい。
しかも、IKEAは自分たちの責任ではないと言わんばかりの対応だ。
お金が欲しいわけではないが、あまりに不当な扱いではないか。
だいたいカスタマーロイヤリティが…(以下略)
数年前にクラちゃん(実家の犬)が亡くなって悲しかったことを必死に考えようとするわたし。
すると先輩スタッフはこともなげに
先輩「はぁ、わかりました。おい、お前小銭いくら持ってる?」
若い店員「えっと30円す」
先輩「そうか、お、ちょうどあった。じゃ、こちら140円お返しします」
夫婦「あ、はい」
あれだけ主張していたのに、ふつうに140円受け取ってそれでいいんかい。
カスタマーロイヤリティはどうした!!
延長12回裏、押し出しで試合終了みたいな幕切れに、しかし不満を感じているのはどうやらわたしだけのよう。
夫妻は、「まあったくさー、最初からさっさと終わらしてくれりゃいいのよねー」などと言いながら去っていきました。なんだかんだ言ってコーンスープは持ってる。
わたしが来る前から夫婦はモメていた様子で、たぶん、彼らは30分以上この件に関わっていたと思う。
わたしだったら、30分を費やして、140円払って、140円取り返すってことはやらない。
コーンスープ分は得するけど、それでも時給140円。
だったら、140円払って、(不本意だけど)コーンスープ持って帰った方がよくない?
でも彼らにとって重要なのは金額ではなく、名誉(なんの?)のための戦いだったのだろうか。
あなたならどうしますか?
ともあれ、価値観と足並みが完璧にそろっていて、案外仲良しで幸せなご夫婦なのかなと思う。
しかし、あのコーンスープ、どっから来たんだろう?
そして、わたしはまだ、何も飲んでない。
CCレモン押してみよ。