カフェ日記

あの日の自分のために開いたカフェ

はじめて訪れた四万十市

わたしがはじめて四万十(というか高知、というか四国)に来たのはちょうど2年前のいまごろ。

移住を視野に入れた下見という感じでした。

中村は思ったより大きなスーパーやホームセンターが充実していて、生活には困らなさそう。

あとは、書店と図書館とカフェがあれば良い

と思いました。

書店は小さいけどいくつかあるし、まぁいいか。

図書館もちょっと小さいけど、綺麗で使いやすそう。

街中には「ウォッチ」さんという、レトロでかつモダンな、とても素敵な喫茶店もあった。

結構満足!

ちょっと足りないアレとは

さて、なんたって四万十市だもの。

最後に四万十川の見えるカフェにも寄って帰るか・・・

と思いました。

川の見えるカフェなんて、いくらでもあるはず。

 

それこそ、あふれかえって・・・

選ぶのに困るくらい・・・

あるはずで・・・

 

ないの?

 

これには正直、びっくり。

四万十川という超有名な観光スポット。

川沿いのカフェなんか乱立して、その前では四万十まんじゅうを蒸してて、四万十清流ソフトクリームとかが飛ぶように売れて、お土産にペナントとか

 

ないの?ほんとに?

 

そう、このあたりはいろんなところに四万十の名前を冠してはいるものの、なんというか、ガツガツした商売っ気が少ないのです。

これがここの良いところでもある。

がしかし。

わたしたちはどこへ行ってもカフェでコーヒーが飲みたい夫婦だし、住むとなったらなおさら。

人はパンのみにて生くるにあらず

とか言うじゃないですか。

スーパーや、ホームセンターではまかなえい「何か」が欲しい。

それは「空気感」でもあり、「場」ともいえる何か。

なので、

四万十は良かったが、何かが足りなかったなぁ

という想いをちょっと持ったまま帰京したのでした。

点が線につながる

それでもその4か月後には、正式に移住して夫は当初の目的通り林業をはじめました。

そして数か月がたったころ・・・

その山つながりで、紹介されたのが、地元の山主のYさん。

そのご自宅に招かれ、さらにご自宅敷地内に建てていた「離れ」を訪ねたときのこと。

 

びっくりしました。

 

ここだ・・・

わたしたちが下見に来た時に、きっとあるはずだと思った「川が見えるカフェ」のイメージそのものの場所がそこでした。

てか、これを個人の趣味で建てるってどういうこっちゃ

そう、Yさんはすごくヘンな粋な人なのです。

 

夫「ここってふだん何に使っているんですか」

Yさん「いまはめったに使わんよ」

私「カフェでもしたらいいのに・・・」

Yさん「あんたら、やったらええよ」

夫婦「へ?」

こんな四コママンガみたいなやり取りだけで、SHADE TREE COFFEEは始まることになりました(ほんとに)。

建物はすでに素敵なので、手を加えたところはありません。

内部のキッチン回りや、食器など、店舗として必要なものはこちらで揃えましたが、それもYさんからは何の指示も制限もなく。

Yさん「なんでも好きにしたらええよ」

Yさん伝説はいろいろあるのですが、それはまたおいおいとして。

 

これまた個人レベルとしてはおかしい大きなピザ窯があったのでそれも生かしたい。

「林業をしたときに出る端材でコーヒーを焙煎したら、山にも関心を持ってもらう機会になるかもしれない」

と思いつき・・・

そんなふうに、「点が線に」つながってきたのでした。

地元民と移住者のコラボレーション

地元民である家主は場所を提供する。移住者であるわたしたちは労力とアイデアを提供する。

お互いが得意な分野を出し合うこの形はどちらにとっても無理が少なく、地元民と移住者のコラボとしては、いい形だと思います。

とはいえどう考えても圧倒的に家主の好意がないと始まらない話。なんといっても、土地という眼に見える資産を提供してくれているわけですから。

わたしたちがもし自分たちだけでカフェを開いていたら、地域に溶け込むようになるのにはるかに長い時間がかかったでしょう。

やはりご縁に感謝としか言いようがないんですね。

ななみん’s View

あの日の自分たちのために開いたようなカフェは、こうして始まりました。

四万十を訪れた人に、「あそこで川を見ながらコーヒー飲んだひとときは良かったね」というふんわりした想い出を持ち帰って頂ければという想い。

それに加えて、山(林業)と街がつながった場所を創りだすこと。
これが当初のカフェをはじめたモチベーションでした。

ところが、実際には地元の方もたくさん来てくれているのは、嬉しい誤算。

住んでみるとわかりますが、いくら見慣れた川でも、たまにはやっぱりゆっくり眺めたくなるものなのですね。

地元の人ほど、近すぎる四万十川の良さに気づきにくくなるけれど、それを再認識してもらえる機会になるならば、これほど嬉しいこともない。

関わってくれるすべての人に感謝をこめて一杯を。