こんにちは、ななみんです。
今日は事情があって、高知市でソロ活動(?)だったんですが、そんなときのわたしのおすすめは、高知県立美術館。
機会があれば、ちょくちょく訪れるところです。
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お気に入りの高知県立美術館
今回は路面電車で行ったので、電停からは3分ほど歩きます。
川を越えて見えてくる美術館。
土佐漆喰の土蔵をモチーフにしているという、ちょっと変わった外観です。
開館は1993年ということで、逆算するとバブル全盛期に設計されているこの建物。
確かに・・・
館内は大理石のような雰囲気の石をふんだんに使い、重厚感があります。
何度もしつこく書く話ですが、空いてる。いつも空いてる。
見てわかるとおり、どこを切り取って写真を撮っても、人が写りこまない!
平日だと、同じ時間に滞在するお客さんはだいたい10人程度。
東京ではありえない贅沢ですねー!
経営的にどうなのかはアレですが、こちらとしては本当にありがたい話です。
芳年~激動の時代を生きた鬼才浮世絵師 展
さて、現在の企画展は、
芳年~激動の時代を生きた鬼才浮世絵師 展
高知県立美術館では、2018年10月28日[日] – 2019年01月06日[日]に開催されていて、全国を廻っている展覧会です。
月岡芳年(つきおかよしとし)(天保10年(1839)~明治25年(1892))、といえば ”凄惨な場面を生々しく描いた「無惨絵」”が有名で ”血みどろ芳年”など異名で呼ばれるほど。
確かにギョッとする絵も多いのですが、それはその時代の風俗や伝記などを正確に描写しているものが多いのです。
芳年が描こうとしていたもの
浮世絵と言えば、役者絵とか美人画とか、明るい文化の側面のほうが知られていますが、実は江戸から明治にかけては「戦争」を題材とした浮世絵がとても多かったのです。
芳年の作品の中では、「魁題百撰相 駒木根八兵衛」などはとても印象的。
駒木根八兵衛は島原の乱で活躍した歴史上の人物ですが、上野戦争に参加した彰義隊の若者を思い起こさせる姿だそうです。
リアルタイムで起こっていることは規制されていて絵にできなかったという江戸時代に、史実をなぞって、今起こっている事件を伝えようとしたとされています。
他にも「戦い」をテーマにした芳年の作品は多く、それらの中にもいわゆる「血みどろ」の絵はたくさん含まれています。
芳年が描こうとしたのは、作り話の「ホラー」の絵ではなく、あくまで現実に起こっている世の中の悲惨な出来事を伝えるためのものだったんだろうと感じました。
今回の展覧会では260点あまりが見られましたが、「無惨絵」はその一部に過ぎません。
その他、美人画、風俗画、武者画など、作風は多彩でした。
コミカルな画風のものすらあります。
そしてどの絵を見ても感じたのが、とても躍動感があること。
動きの描写が本当に精緻な作品が多く、絵師・芳年はもちろんのこと、彫師、刷師など、この時代の版画の技術に驚くしかありません。
これまでの芳年のイメージが覆る、素晴らしい作品展でした。
ななみん’s VIEW
芳年は人生で2回、深刻に神経をわずらっていて、最期もやはりそれが大きな要因となって早世しています。(享年53歳)
その作品、作風を見ていると、とても普通の生活や普通の神経を保ったまま描けるようなものではなく、文字通り「命を削って」描かれたものなのでしょう。
最後の浮世絵師、と呼ばれた芳年の作品と一生を想うだけで価値のある展覧でした。
全国を廻っているので、ぜひ訪れてみては。