国内旅行

憧れの「ワーケーション」をやってみたら、思ってたんと違った話

2000年代にアメリカで始まったという「ワーケーション」がもてはやされる記事をメディアで見るたび、やってみたくてウズウズしていました。

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とはいえ、田舎は日常がワーケーションみたいなものであり、あらたまって「さぁワーケーションいたしましょう!」という機会がないんですよねぇ。

そんな折、オットが「徳島県で林業の研修に参加するのだが、片道5時間以上かかるので、前泊と後泊も合わせ、3泊4日が必要だ」と言い出しました。

ついては、どこか近くに泊まるけど、あなたもついてくる?と。

ん?行先は徳島県の田舎で、現地では、オットは不在。

特に家事をする必要もなし。

もしや、これは絶好のワーケーションの機会では?

オットの研修先の近くを探してみると、30分ほど離れたところに、ちょっとしゃれた感じのゲストハウスがある。個室でも、2名で1泊10,000円程度と、まぁまぁ許容範囲です。

さっそく予約を取り、当日は意気揚々とパソコンと読みかけの本をバッグに詰める。
さらに若き日に勢いで買ったクロスバイクまでわざわざクルマに載せた。

現地ではオットがクルマを使って出かけてしまうので、これが足になるのだ!
バケーション感がすごい!

ところで行き先はというと、徳島県の美波町(日和佐)というところ。

この町はうみがめの産卵地として知られ(静かでいい海なのだろう)ており、朝ドラ「ウェルかめ」のロケ地にまでなった場所です。

メジャーな観光地は、まず「日和佐うみがめ博物館カレッタ」。
水族館じゃなくて博物館なんだ。うみがめはどんな状態で存在しているのだろうか?

そして「四国八十八ヶ所第廿三番札所 厄除けの寺 薬王寺」もあるらしい。
お遍路ルートなんだな。

以上。

まぁ、あまりバケーションの素材が多すぎても疲れるだろうし、これくらいでちょうどいいのだと思うことに。

1日目。

到着したゲストハウスは、サーファーや外国人が好みそうな、さっぱりとオシャレな内装でなかなか素敵。古民家をDIYで改装したんだそう。


部屋はエアコンも完備、何よりとても清潔感があるところがすごく良い。

共用部分も、広くて綺麗で使いやすいし、水回りも清潔。

3日間も滞在するので、言うまでもなく宿との相性はワーケーションの成功に向けてとても重要なカギだと思う。

わたしたちの部屋は、3人も泊まれる広めの部屋で、窓も大きく、のびのびと過ごせそう!

この日は高知からの移動でほとんど終了。

宿のスタッフおすすめのお店はどちらも満席で、なぜか徳島まで来てお好み焼きを食べることになってしまったが、それはそれでまあ良いとします。美味しかったし。

本番は2日目からだ。

 

2日目。

オットは早朝から研修に出かけた。
わたしは8時過ぎから、ルンルンと仕事開始。

しかし、ここでさっそく問題に気づく。

部屋のくつろぐエリアは、ローテーブル&ソファ。
くつろぐにはいいのだけど、どう考えても、パソコン作業には不向き…

テーブルの上に台を置いてみるか、と箱を探したがあいにく適当なものはなく、結局、自分が床に座り、ソファにもたれながら、パソコンを打つ体勢を確保。

ワンルーム一人暮らしの大学生みたいなスタイルである。

いや、姿勢わっる!

体中の変なところがバキバキと痛くなったところで、休憩とランチを兼ねて、クロスバイクで外へ出る。

バケーションの時間ね!

 

・・・

あっつ。
暑いよ。

36度だもの。

部屋が涼しいのでうっかりしていたが、外は死ぬほど暑い。

しかも目当てにしていた韓国料理のお店は臨時休業で、とりあえず飛び込んだ地元の食堂は、「さびれた」というのか「ひなびた」というのか…

昨日は満席、今日は臨休。

どうしてこうなっちゃったのかな、と思いながら、「寿司とそうめん」という炭水化物尽くしの「本日のランチ」を頂く。

正直、それほど、というか、全然期待せず。
そしたら、

え、うま!

注文してから1分以内に出てきたので、「作り置きか」と思ったら「作り立て」だった。

それにしても早すぎだろう。
なんのスペシャリストがこの田舎に隠れてるの?

お会計は750円。安いなぁ。

そこから、近くの「地域おこし協力隊の人が開業した」というカフェへ移動。
あー、なんかホッとする空気感。

しかし、良く考えたら、ここまではただご飯を食べてお茶を飲んだだけである。

バケーションはどうした?

とは言ってみても、散策するには暑すぎる。
ワーケーションで熱中症になってはシャレにならない。

宿に戻る。

エアコンの利いた部屋って天国ですよね。
部屋には贅沢にもテラスがついている。

暑くて出られないけど。
眺めただけでバケーション感が、なくはない。

気づくとわたしは少し眠ってしまったようで、眼を覚ましたらもう15時を過ぎている。
頭がぼーっとするのでパソコンではなく、読書にしよう。

女優の高峰秀子さんはエッセイの名手だ。4歳から養女に出され、5歳から子役をして、9歳で一家9人の生活を支えたこの人の人生を辿っていると、自分の人生がノンキすぎて逆に泣けてくる。

余談だけど、高峰さんは、ほとんど学校に通われていない。
しかし、その分、岩波文庫が友達だったそうだ。
それに、小さいころから大人ばかり、しかも名だたる文化人にばかり囲まれて育っている。

学校なんて行かなくても、文章が上手いはずだよな、なんて思っていたら、オットから「帰るよー」というLINEが入ってきた。

で、わたし、今日、何したっけな?

3日目。

午前中は、昨日と同様、体をバキバキにしながらなんとか仕事をする。

そして、ランチに出かけたが、ここで衝撃の事実を知るのです。

今日は火曜日。
そしてこの町の飲食店は、ほぼすべて火曜日が休み!!

まぁね、確かに田舎の店は、火曜日・水曜日が休みのところはとても多いんですよ。

にしたって、この町は、少々偏りすぎていないか。

なんとか開いているお店を見つけるも、外部がプレハブ調で一切装飾なし。
どこをどうとっても、女性がひとりで入る系のお店ではない。

店の入り口には、紙に殴り書きされた「日替わりランチ あなごの天ぷらとうどん」の文字。

古いとかどうとか言う以前に、ウェルカム感がゼロで、人を寄せ付けない印象を受ける。
排他的な店ってなんだ?

急に、昨日のお店がなんだかすごく素敵に思えてくるから、人間って基本的に相対評価なんだなぁ。

勇気を出して入ってみたら、外見に反して内装は北欧風にリノベ―ション!

されているわけはなく、外見から想像された通り(それ以上)の内装が展開されている。

古びた昭和のスナックを改装したような味わいで、カウンターには何かわからない荷物が積まれ、合皮の椅子はゴールデンレトリバーが全力で遊んだようにぼろぼろになっている。

ところが、店主のおじさんは、想像の100倍くらい優しい笑顔と声で「いらっしゃい」と迎えてくれるではないか。さらに、テーブルにはなんと英語メニューまで置いてある。

なんかいろいろミスマッチすぎて、頭が追いつかない!!

水を飲んで冷静になってから考えると、この町はお遍路さんの通る場所であることを思い出しました。

案外、外国人にとっては「エモい」店なのかもしれないな。

ランチの「あなごの天ぷらとうどん」は、ボリューム、味ともにしっかりしていて、また意表を突かれる。
しかし全体に炭水化物の摂取量が多い町だと思う。

700円。日本ってこんなに物価安くていいのかな???

さて、ランチを終えると、急に「することがない」ことに気づいてしまいました。

頼みの綱(?)のうみがめ博物館は、なんと改装中で来年まで休みだということが判明。

猛暑の中を、お寺を歩く気にもなれず、薬王寺もパス。

しかたなく、道の駅へ行ったり、海の方へ向かったり。

メロンパン的フォルムが可愛い(かもしれない)うみがめ。

子どもが見たら泣きそうなうみがめ(公衆電話)。

うみがめが訪れる(今年はまだゼロ)という海岸。

そうこうしているうちに、急にクロスバイクのブレーキが利かなくなるという事件が発生。
え、なんで?何キロも走ってないよ?

前輪、後輪ともに利かなくなり、もはやブレーキなしの競輪の自転車状態。

あんまり遠くへ行ってなくて良かった…

だましだまし、ようやく宿に戻ってくると、やはりエアコンの利いた部屋は天国でした。

どうしてわざわざ天国から出て行ったんだろう、と思ったりする。

わたしは今日は何をやっていたんだろうか。

炎天下でブレーキの利かない自転車に乗って、必要以上の炭水化物を摂り、うみがめのぬいぐるみを見たのである。

これ、いつか人生で役立つ経験になるのかな?

そんなことを考えているうちに、またウトウトとしてしまい、気づいたら16時過ぎ。
オットから「帰るよー」のLINEが入っていた。

ーーー

3日間過ごした初めてのワーケーション。
マジメに言えば、きわめて効率が悪いです。

カスタマイズした自宅以上に仕事に適した場所って、なかなかないですよね。もし外部で確保しようとすると、かなり良いホテルにする必要があります。

しかし、そうやってワークに傾きすぎると、今度はバケーションに出かける時間がない。

良いワーケーションのためには、わりと時間とお金の余裕が必要そうで、そうなると、ワーケーションのために一生懸命ワークしなきゃ、というとんでもない本末転倒感が見えてきた。

もしかして、会社員の方なら、会社から補助があったりして、もっと条件が良いのかもしれませんね。

ともあれ、フリーのわたしが短期でのほほんと出かけると、どっちつかずに終わるということが判明。

パソコン用デスクとチェアがある宿で、快適な季節で、ほどほどの観光スポットがちゃんと開いていて、など考え始めたら、もう家にいたらいいじゃないかという気分になってしまう。

まぁ、でも、「なんちゃってワーケーション」は、効率は悪くても、クソ暑くても、なんだかんだ言ってそれなりに楽しかったのです。

ワーケーションはそれ自体がレジャーと割り切り、多くを期待しないで気楽にやる、というのもアリかなと思っています。