保険

フリーランスに「医療保険」は必要かどうか。【元保険会社勤務】からの結論

こんにちは、ななみです。

ずいぶん長く悩んでいた医療保険の見直し

そもそも医療保険は必要か、というところから悩んで、「解約」も一時考えていたのですが、結論としては

「医療保険が人生の必需品でないことはわかっているか、フリーランスの我が家では必要と判断」

して、保険会社を変えて新しい契約をしました

今日はこの過程までで、どんな契約に変えたかはまた後日記事にします。

CONTENTS

「医療保険」見直しのステップ

久しぶりの医療保険見直し、いろいろステップを経て考えました。

1.「医療保険」を保険会社目線で再認識

もともと保険会社で勤務していたわたしですが、改めて「医療保険」というものについておさらいしました。

医療保険はシンプルな商品で、

  • 疾病/ケガによる入院給付金
  • 手術給付金

がベース(基本契約)です。

これに、

  • がん一時金特約
  • 三大疾病割り増し特約(入院給付金の増額)
  • 七大(八大)疾病割り増し特約(入院給付金の増額)
  • 通院特約
  • 女性特有疾病割り増し特約(入院給付金の増額)

などを、アラカルトで付加する・しない、で保険料が変わってきます。

定食をイメージするとわかりやすいですね。

保険料は、加入者の年齢や、給付金の金額設定、特約をどれくらいでつけるかによって変わりますが、医療保険はだいたい2,000円~10,000円くらいの間で入る人が多いのではないでしょうか。

この医療保険、保険会社にいた時代から「ドル箱商品」、つまり保険会社が儲かる商品という認識でした。

裏を返せば、加入者はほとんど「掛け捨て損」になる可能性が高いです。

確かに、「入院給付金が1日5000円で、通算1000日まで」と単純計算すると、最大で受け取る可能性は500万円になりますが、いろいろカラクリがあります。

まず、一般的には「1回の入院給付金限度日数が通常60日」と設定されているので、1回の支払い限度額は最大で30万円にしかなりません。
(※ 入院給付金1日あたり5000円/60日上限の契約の場合。給付金額、限度日数が異なる契約の場合は、この限りではありません)

また、1契約の通算の入院給付限度日数はだいたい1000日程度とされており、何度も入院した場合はその都度支払われますが、「同じ病気の入院は1度限り」とか、「各入院の間には〇日以上経過しなければならない」など、保険会社によっていろいろ細かく取り決めが異なります。

しかも、最近は入院させずに自宅療養・通院で治す傾向がとても強くなっており、がんですら、2週間程度の入院というケースが多く見られます。
相当な重篤な病気やケガでないと、なかなか60日は入院させてくれない。

つまり「様々な病気やケガで、60日間の入院を約17回繰り返す」ことをしないと、最大給付金額には至らないわけです。可能性、低いですよね・・・

保険会社から見ると、医療保険は「ドル箱商品」、つまりとても儲かる商品だという所以がおわかりいただけると思います。

ま、このことは昔からわかっていたのですが、一応再認識しておきました。

2.「医療保険不要論」も見てみた

世の中には「医療保険不要論」もとても多いです。

まず日本の健康保険では、本人の医療費負担はかかった金額の3割。
加えて日本には「高額療養費制度」がありますので、本人の負担はさらに軽減されます。

たとえば、70歳未満、年収約370~770万円の人が、1カ月(注:1日から月の終わりまで)に100万円の医療費がかかった場合でも、

100万円x3割=30万円
さらに、高額療養費制度の還付として、21万円が戻される

→ 本人負担は約9万円で済みます。

※自己負担の上限は、年齢や年収によって変わります。

なので、医療保険に入るより、その分を貯蓄にしておけばよい。

・・・というのが、医療保険不要論の主な説です。

さらに会社員の人は「傷病手当金」まで社会保険で整備されています。
働けなくなった場合でも、ざっくりいうと給与の2/3の金額が1年6カ月も支給される。

ここまで制度の整った国でさらに民間の保険なんていらないよね、というのは非常に納得できます。

これも、重々承知の上で、次に行きます。

3.第三者の意見を聞いた

最後は、最新の医療保険の状況を訊こうと思って、来店型の保険ショップである「ほけんの窓口」にも行ってみました。

ここでの話はかなり参考になりましたので、ネット上の話だけでは、保険ってなんかわかりにくい・・・と思っている方にお勧めです。

「ほけんの窓口」の訪問体験談。1度目は気軽に立ち寄れます 【試す価値あり】こんにちは。 わたしは、以前生命保険会社に勤務していたのですが、辞めてからはや数年。 保険の情報のアップデートが少し遅れているなぁと...

ただ、こうした「来店型ショップ」は、役に立つ面もある一方で、恣意的にある保険会社に誘導される可能性がなきにしもあらずです。
(タテマエ上は公平と言いつつも)

なので比較のためにできればもう1か所くらい行きたかったですが、うちの周りにはほかにないんですよね・・・
(;´・ω・)

保険見直し本舗が近くにあれば、こちらにも行ってみたかったです。

保険見直し本舗
資料を見てみる

これから来店型保険ショップに行かれる方は、ぜひ複数の意見を聞かれることをおすすめします。

それでも我が家が医療保険を継続する理由

上記に挙げてきたように、保険会社に勤務していたわたしから見れば、

「医療保険は、損になる可能性が高い」

とわかっているんですが、それでも一応加入を続ける選択をしました。

その理由は主に7つ。

1.フリーランスには、傷病手当金がない

夫婦ともにフリーランスの我が家では、当然会社員にある「傷病手当金」はありません。

入院すれば、そのまま無収入につながります。

入院給付金5000円x〇日、というのは金額的には大したことはないですが、実際に入院してみると、毎日お金が出ていくだけ~というのよりは、多少気分的になぐさめになるかなぁ、と思っています。

2.フリーランスで、林業をやっているから

オットは林業に関わっているため、ふつうの人よりははるかに「ケガ」の可能性が高いです。

しかも、フリーランスなので、業務上の災害でも「労災」などが適用されません。

病気で長期入院するという可能性はあまり高くなさそう、と(根拠なし)思いながらも、ケガに対しては十分構えておきたい気持ちがあります。

ちなみに、別途傷害保険にも加入しています。

3.保険は入りたいときには入れないから

病気にかかってからでは、保険に入れない(謝絶される)可能性も出てきます。

わたしが保険会社にいたときにも、それまで関心を全く持たなかった人が、突然病気になり、急に焦って保険に入ろうとしたけど入れなかったというケースをよく見てきました。

なので「保険は、入れるときが入りどき」という気持ちが、人よりも強いかもしれません。

最近では、持病・病歴があっても入れる保険というのも増えてきていますので、気になる方はご参考に。

持病があってもOK
医療保険資料請求

4.先進医療特約が欲しいから

昨今の医療保険にはほとんど付加されている「先進医療特約」。

先進医療とは、厚生労働省がその治療効果と安全性を認めた新しい治療法・手術法で2020年1月23日時点で88種類あります。その費用を、2,000万円まで補償してくれるのが、先進医療特約です。

詳しい内容はこちら
先進医療の各技術の概要

今のところ、その7割くらいが「がん」治療の最先端治療のためのもの。

また、白内障の治療「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」の実施件数もかなり多くを占めています(→ ただし、こちらは2020年3月で厚生労働省から除外される予定のようです)。

全体では先進医療はまだまだ実施件数が少ないのですが、今後先細りすることは考えにくく、より一般化してくる可能性が高いと感じています。

「万一のさい、自らが負担できないような金額を補填する」という、「保険」という商品の本来の存在意義に合っているのは、少額の入院給付金よりも、むしろ先進医療特約のほうだと感じています。

5.フリーランスが使える「国の制度」存続が怪しい

日本の少子高齢化の状況を見ていると、今後も医療費の負担は増大する一方だと感じています。

高額療養費制度が、未来永劫続くとは限りません。
また、国民健康保険の自己負担も3割のままとは限りません。

完全に廃止とはならなくても、制度が縮小される可能性はあるなと感じています。

フリーランスにとって、国からの保障が先細りする恐れというのは、心に留めておくべき点であり、医療保険はそのための準備のひとつでもあります。

6.高齢の親の状況を見ているから

うちの親は頑健で、病気らしい病気はほとんどしないまま80代になろうとしていますが、70歳を過ぎてから、しょっちゅう「ケガ」をするようになりました。(主に転倒)

また、今月から、父が腰を痛めて手術・入院します。

この数年の間に、両親が合わせて4か月くらい入院したような・・・

その状況を見ていると、若いうちはいいけれど、歳をとると状況が違うな。と思わされるのです。

50歳を目前に、よりその思いは強くなりました。

7.今まで保険に入り続けてきたから

最後はしょうもない理由ですけど聞いてください。

保険を続けてきたから、続ける。

実はこれ、一般的に言っても、保険を継続するかなり大きな理由だったりするんです。

がん保険加入者は「保険やめたら、がんになりそう」というナゾの恐怖を感じたりします。
「保険はお守りなので、入ってると病気にならない」という、超常現象みたいなことを言う人もいます。

いずれも何の科学的根拠もありません。

一言でいうと、「(やめたあとに病気になって)後悔したくない」ということに尽きますね。

ついでにいうと、「みんな入ってるから、自分だけやめるの不安」という日本人的な考えを持つ人も結構多いです。

このあたりは、自分でもちょっとアホだなぁと思いつつ、心理的な話なのでしょうがありません。皆さんは、冷静に判断していただきたいと思います。

まとめ 人生の棚卸しの機会に。

結論として、「フリーランスにとって医療保険の必要性は会社員よりは高いものの、人生の【必需品】とまでは言えない」と思っています。

重要なのは、加入するのもしないのも、人の意見や周りに流されるのだけではなく、丁寧に自分たちの人生の棚卸しをして考えること。

  • 病気になりそうな要因はあるか。
  • 親、親戚などを見て、遺伝しそうな病気はないか。
  • 公的保障、会社の保障をきちんと理解しているか。
  • 既婚なら、配偶者との意見は合っているか。
  • 保険に入らないなら、きちんと貯蓄ができる性格か。
  • 現在、半年入院したとしたら、家計は持つか。
  • 決めたことに、あとからグズグズ後悔しないか。


加入している我が家の例もふまえて、ご自分の家での必要性を考えてみる参考にしていただければ嬉しいです。