先だって、移住トラブルの関連記事↓を上げたばかりですが
今日もかなりインパクトのあるニュースが入ってきました。
移住者に「都会風やめて」 - 広報誌に提言
移住者に「都会風やめて」 - 広報誌に提言、福井・池田https://t.co/7HCJE0A5Lw
— 共同通信公式 (@kyodo_official) February 8, 2023
福井県池田町の広報誌で、移住者への提言として示された「池田暮らしの七か条」に、「都会風を吹かさないよう」「品定めされることは自然」といった表現があり、移住者らから「広報誌の表現として不適切だ」と批判が上がっている。町は「意図が分かるようにするべきだった」としつつ、修正予定はないとしている。
町によると人口は約2300人で、例年約20人が県内外から移住している。
池田町のいくつかの集落の区長さんたちが集まって、地元民と移住者の間にトラブルが起きないように考えた「7か条」。
つまり「移住者の心得」みたいなものが、広報誌に掲載されたということです。
PDFで全文が見られますが、こちらにもテキストを転記しますね。
池田暮らしの7か条
第1条 集落の一員であること、池田町民であることを自覚してください。
○総人口の少ない池田町ではありますが、私たちは 33 の集落において相互扶助を土台に安全で豊かな共同社会を目指しています。
第2条 参加、出役を求められる地域行事の多さとともに、都市にはなかった面倒さの存在を自覚し協力してください。
○池田町の風景や生活環境の保全、祭りなどの文化の保存は、集落毎に行われる共同作業や集落独自の活動によって支えられています。共同して暮らす場を守るためにも参加協力ください。
○草刈り機は必需品です、回を重ね使い込むことで技術上達が図れます。
○このことを「面倒だ」「うっとうしい」と思う方は、池田暮らしは難しいです。
第3条 集落は小さな共同社会であり、支え合いの多くの習慣があることを理解してください。
○生活の基盤は集落であり、長い年月に渡って様々な行事や集まりを通して暮らしを支えてきました。
第4条 今までの自己価値観を押し付けないこと。また都会暮らしを地域に押し付けないよう心掛けてください。
○集落での生活は、ご近所などとの密な暮らしの日々があります。都市では見られなかったルールや仕組みもありますが、皆で折り合いを付けながら培ってきたものです。
○これまでの都市暮らしと違うからといって都会風を吹かさないよう心掛けてください。
第5条 プライバシーが無いと感じるお節介があること、また多くの人々の注目と品定めがなされていることを自覚してください。
○どのような地域でも、共同体の中に初顔の方が入ってくれば不安に感じるものであり「どんな人か、何をする人か、どうして池田に」と品定めされることは自然です。
○干渉、お節介と思われるかも知れませんが、仲間入りへの愛情表現とご理解ください。
第6条 集落や地域においての、濃い人間関係を積極的に楽しむ姿勢を持ってください。
○静かでのどかな池田町ならではの面白さとして、ご近所や色々な出会いの中での会話を楽しんでください。
第7条 時として自然は脅威となることを自覚してください。特に大雪は暮らしに多大な影響を与えることから、ご近所の助け合いを心掛けてください。
○池田町は 2004 年の福井豪雨災害で大きな被害を受けて以来、集落防災隊長を設置し地域防災力を高める取り組みを推進しています。
○また、池田町には「雪で争うな、春になれば恨みだけが残る」という教えがあります。積雪時、大雪時での譲り合い、助け合いを心掛けてください。
わざわざ全文を挙げたのは、全文を見れば、第4条、5条を除けばそこそこまっとうなことを書いていることがわかるので、公平に見ていただきたいからです。
ていうか、1~3条は折り目正しく、4,5条で突然の乱心、そしてハッと我に返って6条、7条を想い出した、って感じ。誰か推敲したらいいのに。
もったいないですね。
揚げ足を取りたいわけではないですが、気になる点を見てみます。
第4条、移住者に向かって一方的に「今までの自己価値観を押し付けないこと」はいきなりきつい。逆に、田舎の価値観は押し付けますよ、とも聞こえかねない。
あくまで人間同士、「お互いの価値観を尊重しましょう」とか書けば問題なかったはず。
続いて同じく第4条、最大のインパクトというか地雷、
「これまでの都市暮らしと違うからといって都会風を吹かさないよう心掛けてください」
気持ちはわかります。
都会風(って具体的に何を指すかは不明だけど)吹かすヤツってなんかイラっとする。
でも、都会人が、新しい風を一片たりとも吹かさなかったら、その地域にとって、移住者が来た意義がそもそもありますか?ってことを考えてほしい。
むしろ
「これまでの都市暮らしと違って戸惑うときは、いつでも相談してください」
とかいう書き方だったら。あぁ、余裕あってステキだったのに。
そしてこのあたりからだんだんヒートアップしての第5条、
「プライバシーが無いと感じるお節介があることを自覚してください」
いやいやいや、プライバシーの侵害って、ふつうに違法だよね?
さらにたたみかける、同じく第5条、
「多くの人々の注目と品定めがなされていることを自覚してください。」
品定めという、一般に人間に対して使ったら失礼な言動を、やい、するぞーって宣言か。
ウソでも「期待されています」はどう?
すべては、言葉選び。
本当は良い部分もあるのに、全体としては最悪の印象を残した挙句、「都会風を吹かすな」「品定めされている」のパワーワードが独り歩きしてしまったという、今回のお話でした。
ただ、こんなに「思ったまんま発表してみた!」っていう無邪気な大人たちも逆に珍しいですよね。
なので、わたしは移住者受け入れ側の一部の(全体ではないと思う)ホンネを知れる貴重な機会として前向きにとらえています。
先日の愛媛県の「#移住失敗」でバズっている動画についての話もそうですが、こういった移住トラブルの話はわりと世間の耳目を集めるようですね。
移住したい!(けど、失敗したくない!)って人が世の中には一定数いる、っていうことなんでしょうか。四万十でお待ちしております。
追伸
第2条の「草刈り機は必需品です、回を重ね使い込むことで技術上達が図れます。」だけ、唐突過ぎてどうにも気になります。なぜここで草刈り機のスキルアップの話。