大量生産・大量消費とは一線を画した「サードウェーブ・コーヒー」。
コーヒー豆を農園から直接、またはフェアトレードで仕入れ、ブレンドせずに「シングルオリジン」で提供するというスタイルです。
すでに日本でもすっかり定着した感がありますね。
サードウェーブがここまで浸透したのは、サードウェーブコーヒーを選ぶことで「自分が何を選び、支持しているか」という人生のポリシーやライフスタイルを端的に示してくれるからなのだと思います。
グルメであること。エコであること。社会に貢献すること。アースフレンドリーであること。生産者を尊重すること。(そして、ちょっとおしゃれなこと?)
どこのコーヒーショップのどのコーヒーを選ぶかで、自身の大切にしているものが表現できるのがサードウェーブでした。
次のフォースウェーブでは、農園の違いだけではなく、栽培場所や栽培方法の違いにまでこだわり、さらに「誰が淹れたか」までが、こだわり箇所になってくるとのこと。
コーヒーは、ほぼワインのような世界に近づいていっていますが、今は3.5ウェーブくらいのところでしょうか。
サードウェーブコーヒーの原点とも言えるサンフランシスコでは、「4大サードウェーブコーヒーロースター」があると言われています。
そのうち、3店舗を訪れてみました。
CONTENTS
ブルーボトルコーヒー1号店(Blue Bottle Coffee)
まずは定番のブルーボトルコーヒー、1号店です。
店内は意外に狭くて、接客は2人のスタッフだけ。
大規模な焙煎所が隣接している1号店。
なので、こちらはショップというより焙煎所としての位置づけのほうが大きいのかもしれません。
カッピング(テイスティング)をしているスタッフも。
ドリップコーヒー(この日はコロンビア)を頂きます。
ちなみにワッフルはなぜか無料サービス(美味しい)。
お客は次々訪れます。 スタッフはとてもフレンドリーで感じがいいですね。
このあともずっとそうなのですが、サンフランシスコはじめ西海岸のカフェはどこも愛想がいいです。
ちょっと話がそれますが、この上の女性が持っているこのボトル。
ハイドロフラスクというんだそうです。
オレゴン州で2009年に創立されたステンレスボトルのブランドで、特に年中暑いハワイで大人気になっているらしい。
(去年ハワイ島にいたのに気付かず・・・)
現在は日本でもかなり人気なんですね。色使いが、やっぱりきれい。
めちゃ欲しくなってしまいましたが、我が家はステンレスボトルは「タイガー」を愛用しているのでガマン。
このブルーボトル1号店、サンフランシスコのオークランドにあります。
オークランドは、エリアによってはちょっと危ない感じがするところも点在するんですよね。
そしてブルーボトルは、ちょっと危ない感じのする点にあるのでした・・・
300 Webster Street Oakland, CA 94607
San Francisco, CA 94103
フォーバレルコーヒー(Four Barrel Coffee)
今回訪れたサンフランシスコのコーヒー店の中で、もっとも「Art」だったのは、こちらのフォーバレルコーヒー。
見えにくいんですけど、ドアのところにこんなメッセージが。
”WE FILTER COFFEE NOT PEOPLE”
コーヒーにフィルターはかけるけど、人間にフィルターはかけないよ。
つまり、「人間をフィルタリング(差別)しない」というメッセージですね。
店内には、レインボーカラーが掲げられています。
そして焙煎機を「見せる」のも、サードウェーブコーヒーロースターの特徴。
ほとんどが、ドイツ製のPROBATだったように思います。
パッと見の店内は、いわゆるサードウェーブ系ですが・・・
店内にはあちこち絵画が。
カップのイラストも、他のサードウェーブに比較すると、ちょっと凝っています。
道路の上にせり出したテラス席が!
気候が安定していて、雨も少ないサンフランシスコだからできることですね。
高知だったらすぐずぶ濡れだと思う・・・
fourbarrel coffee
375 VALENCIA ST.
San Francisco, CA 94103
サイトグラスコーヒー (Sightglass Coffee)
サンフランシスコでもっともクールなコーヒーショップ、とも言われるサイトグラスコーヒー。
サイトグラスとは、コーヒーの焙煎機の「のぞき穴」のこと。
ジェラード&ジャスティン・モリソン兄弟がそれぞれ前出のブルーボトルコーヒー、フォーバレルコーヒーで修行したあとに、独立して出したお店です。
広々とした店内には、焙煎機が構えられ、ウッディなテーブルが並びます。
2階もあり、パソコンを広げて仕事をしているらしい人がたくさん。
まさに、「サードウェーブコーヒー」のイメージそのままのお店ですね。
ちなみに、コーヒーは「Quick Cup(作っておいてポットに淹れたものを注ぐ)」と「Individual Prepared Coffee(1杯ずつドリップ)」の2種類。
呼び名は多少変わるかもしれませんが、このように2種類に分けているお店が多かったです。ここでは、Quickが3.5ドル、Individualが5ドル。
Individualを注文。暑さに耐えながらドリップを待ちます。
ここではケニアを頂きました。
このカップもザ・サードウェーブ感!
(暑くなければ)仕事もはかどりそうです。
270 7th St(between Howard St & Folsom St)
San Francisco, CA 94103
SFの「4大」サードウェーブコーヒー店 全部行かなかった理由
実はサンフランシスコには「4大」サードウェーブコーヒー店があり、当初は全部行くつもりでした。
が、実際行ったのは3店舗。
なぜかというと、時間が足りなかったせいもあるのですが、もっと大きな理由が2つあります。
1つめ:SFのサードウェーブコーヒーの味が合わない
浅煎りはすっきり飲めそうなものですが(サンフランシスコのサードウェーブコーヒーはどこもほぼ浅煎り)、わたしはなぜか胸やけがしてしまうのです・・・
というわけで、体質的に4店舗も回れんかった、というのがひとつ。
2つめ:味は、どこもほぼ同じように感じた
こんなことを言うと、
「コーヒー店(の妻)のクセに味のわからないやつ」
と言われそうですが、正直なところ3店舗はほとんど同じ味に感じました。
もちろん、それぞれの豆の違いによる差はあります。
ただ、全体に感じるテイストが同じように思えてしまったのです。
そもそも、サンフランシスコの4大サードウェーブコーヒーロースターは、もとはといえばみんなブルーボトルで修行→独立→枝分かれ、という経緯なので、根っこは同じ店と言えなくもない。
なので、3つ回ったら、味見の意味ではもういいかなと思ったのも事実です。
合わない=美味しくない、ではない
ただし、これらのお店が「美味しくない」わけではないです。
コーヒーというのは嗜好品なので、「美味しい・美味しくない」ではなく、「合う・合わない」、または「好き・嫌い」と表現するほうが正しいように思っています。
その言い方で言うと、わたしには合わなかっただけなので、否定するつもりはまったくありません。
店構え、メッセージ性など、勉強になるところが多々あり、どんな人々がサンフランシスコでサードウェーブに集うのか、この目で見られたことは大変貴重な機会でした。
ちなみに「4大」ロースターのうち、行けなかったもう1店舗はこちらです。
特にここの優先順位が低かったわけではなく、行きやすいロケーション順に行ったら最後になってしまい、上記の理由で割愛してしまっただけです。念のため。
それでもまだ気になるお店がたくさんあるSF
サードウェーブの旗手の中で行けなかった
- Philz Coffee
- The Mill (four barrel coffee の新形態)
- VERVE COFFEE ROASTERS
をはじめ、まだまだ新しいお店も発生しています。
できることなら、度々訪れたい街ではあります。
わたしたちのコーヒー店のありかた
わたしたちのお店は、シングルオリジンのコーヒーを出していますが、焙煎は中煎り~深煎りのあいだくらいが主流ですし、店内の雰囲気は、どこか「純喫茶」ぽい感じもあります。
店内にはパソコンを持ち込む雰囲気でもありませんし、wifiもありません。
なので、ファーストともサードともいえない、何ウェーブでもないお店ですが、結果的に赤ちゃんからお年寄りまで、どんな方がいらしても違和感のない感じになっていると思います。
それを狙ったわけではないんですが、40代の自分たちにとって心地よいお店を体現したら、そんな感じになりました。
もしかすると、40代(後半)って、コーヒー店をするのに、ちょうど良い年齢だったのかも?
今、地域に欲しいコーヒー店
でも!
一方で、わたしたちが今住んでいるような地方にこそ、サンフランシスコのサードウェーブコーヒー店のような存在が潜在的に求められているような気がします。
具体的に言うと
- 家以外でもパソコンの仕事がはかどる場所
- フリーランサー、自営業の居場所
- おしゃべりもできるし、仕事の打ち合わせもできる場所
- 気軽に高品質のコーヒーを楽しめる場所
- Macbookが似合う場所
そして何より、
- 匿名になれる場所!
何度か言っていますが、「匿名になれること」は重要。
地方(田舎)では、どこでも素性が割れていますよね。
お店にいっても、ほとんど店主や、他の客と知り合い。
それはそれで、もちろん楽しいことだし、温かいことです。
でも・・・
たまには
「誰も知り合いのいないカフェでぼーっとしたい」
と思ったりするのが、現代人にとってはふつうです。
情報の洪水の中で育った若い人、それから”匿名”に慣れた都会から来た移住者にとっては、そうやってひとりの時間を持つことで、何か精神のバランスを取ることはもう必須だと感じます。
海や山へ行けば手軽にひとりになれますが、それともちょっと違うんですよね・・・
だから、こういうタイプのカフェもあるといいな、とは、密かに(言っちゃってるけど)思っています。
ちなみに、秋にはコメダ珈琲さんが四万十市にできるそう!
ちょっとサードウェーブとは違うけれど、これはこれで楽しみです。