こんにちは、ななみです。
今日は会社員のときのことをふと思い出したので、書き留めておきます。
社会に出ると、どんな職業であれプレゼンテーションやスピーチの機会は増えるものですが、小さいときからスピーチの教育を受けていない大半の日本人は、プレゼンやスピーチを苦手にしています。
ですが逆に、みんなが苦手だからこそ、ちょっとでもコツをつかんでいると、ものすごく有利です。
わたしが会社員時代になんとかスピーチのスキルを上げたくて通っていた、「格安でスピーチの学べる場所」を紹介します。
それが、トーストマスターズクラブ。
CONTENTS
トーストマスターズクラブとはどんな組織?
トーストといえば
じゃなくて・・・
トースト(toast)には、「乾杯、祝杯」という意味があるんですよね。
そのトーストのマスターとは、つまり、乾杯のあいさつをする人、司会者と言うこと。
要するに、トーストマスターズクラブは、上手なスピーチができるようになること、それを通して会合などをリードするスキルを磨くことを目指すクラブのことなんです。
自己啓発系のあやしい感じもするけど、ここはアメリカ発祥のれっきとした国際的な非営利団体。
全世界143ヵ国に16,600 以上のクラブがあり、総会員数は357,000人以上。
日本では約200クラブ、4,000人以上の会員がいるそうです。
以前はわたしも仕事でプレゼンテーションをしたり、セミナーで話したりする機会がちょくちょくあったので、「スピーチに慣れる」訓練ができたらなという気軽な気持ちで、このトーストマスターズクラブ(以下、TMC)に参加していました。
トーストマスターズクラブの会費
TMCは非営利団体なので、会費が安い!
2019年7月現在、調べてみたら
● 入会金 4,000円程度
● 会費 1,500円/月程度(半年ごと)
という感じ。
地域やクラブによって差があるものの、気楽に始められる感じです。
トーストマスターズクラブはどんな活動をしている?
わたしが通っていたクラブの例会は、だいたい月に2回、平日の夜から例会がありました。
仕事をなんとか早めに切り上げたビジネスパーソンが、大井町駅近の会議室に、わらわらと集まってくる。男女比は7:3くらいかな・・・
年齢層は幅広く、20代から60代までさまざま。
誰でも参加しやすいといえます。
TMCでは隔週で2時間程度の例会があって、毎回全員がちょっとした短いスピーチをして、そして、順番で長めのスピーチをする番が回ってくるという仕組み。
全員が聞き役であり、全員がスピーカーなので、「参加したけど話すチャンスなかった・・・」ということはありえません。
トーストマスターズクラブの雰囲気
基本的にはわりと意識の高い人が集まってくる場所なので、どうしても気圧される感はあり、慣れるまで少し時間がかかりました。
といっても基本的に「スピーチしようゼ」という健康的な人たちばかりなんで、それほど怖がる必要はないです。
ただ営利組織ではないので、セッティングとか役割とかはみんな分担です。
ヤル気がないと入り込みにくいですよね。
トーストマスターズクラブにいる人々
ところで、クラブには色んな人がいます。
ここでわたしは、世の中にはスピーチに異常に長けている、ジョブズみたいな人が実際にいることを知りました。
もちろん「場数」「慣れ」の問題も多少あるけど、やっぱり意識してトレーニングしている人は違う。
それに残酷だけどやっぱり生まれ持った素質のようなものがある気がする。
本当に上手な人は、しゃべる前からこちらの注意を惹きつけるようなオーラがあってまるで魔物。
わたしが実際に聴いて、感動的に上手だったのは大嶋友秀さんと言う方でした。
大嶋さんはスピーチのプロフェッショナルですが、TMCにも積極的に参加されて指導をされていた方。
このレベルだと、スピーチというより、ストーリーテラーというか、小劇場みたいなもの・・・
スピーチというと「言いたいことを伝える」という感があるけれど、自分の世界に相手を誘い込むことなんだなぁと、ホレボレしながら聴いていた記憶があります。
ちなみに、スピーチというのは長いほうが難しそうなんだけど、実際やってみると即興の短いスピーチも案外難しかったりして。
準備ができないため、「自分が今持っている経験値と語彙」でスピーチを作り上げなければならないんですよね。
ようするに、自分の内面と能力と経歴があからさまになるような感じがして、これはこれでけっこうキツイ。
自分、浅いなぁと思いながら、毎回何かしら話をつなげて頑張る感じです。
あ、でも、自分同様のひとも結構いるので、そんな心配しなくても大丈夫なんです。
トーストマスターズクラブのルール① 肯定的に聴く~うなずきの魔術
そして、TMCには、原則とでも言うべき重要なルールが実はあります。
それは、
人の話は、肯定的に聴く
ということ。
具体的には、話を聴きながら「うなずく」という行為。
これすっごく大事!!!
実際に人前で話してみるとわかるのだけど、聴衆というのは知り合いでもない限り、反応がとても薄い・・・
資料に釘づけだったり、スマホに気を取られていたり、寝ていたり。こちらを見ていてもなんかボーっとしていたり。
こちらの力不足はもちろんだけど、終始惹きつけ、時に笑わせたりさせるレベルになるのは至難のワザなんですよね。
わたしが知っている日本人のスピーチ上手は、ユニクロの柳井正さんやトヨタの豊田章男さんです。あれだけの企業のトップならば、当然、訓練も努力も準備もあるはずです。
でも一般人にそんな訓練を受けている人はほとんどいない。
レベルを上げる前にスピーチに苦手意識を持つので、生まれながらの天才スピーカーや一部のカリスマ候補以外、スピーカーは育たない。
でもTMCの「肯定的に聴く」というルールのもとだと、こうなります。
「みなさん、こんばんは」 聴衆うなずく。
「今日は”家事分担”について話します」 聴衆うなずく。
「わたしは洗濯を担当しているのですが」 聴衆うなずく。
何を言っても、とにかくうなずく。
「それは違うだろ」と思っても、うなずく。
「笑っていいとも!」でタモリさんが何を言っても聴衆が「そーですね!」と返すのがありましたけど、あれに近い感じ。(声には出さず)
そもそも、それまでわたしは「うなずく」ことを重く考えすぎていたかもしれません。
まるで連帯保証人のサインのように、うなずいたら最後、このスピーカーに同意している責任を持たなければならないかのような。
でも「あ、そーでもないんだな」ということをTMCで初めて知りました。
うなずくのは、スピーカーが言うことを「聴いてますよ」「受け止めましたよ」という、宅配でいえば、単なる受領サインです。
SNSでいう「いいね」みたいなもの。
でも、スピーカーとしては、このサインを受けるとものすごくやりやすいんですよね。
いいね!があれば、背中を押され、スピーチは加速する。
何を言ってもウケるから、色んなことを言ってみたくなる。
言う。ウケる。言う。ウケる。言う。ウケる。
タモリでもジャニーズでもない一般人にとって、これはたぶん人生で初めての、素晴らしい経験だと思う。
うなずくなんてタダだし、それでいてすごい魔力を持っているんですよ。
トーストマスターズクラブのルール② まずはホメてから、話はそれからだ
もちろんうなずいて終わりではありません。
トーストマスターズには「先生」がいないので、スピーチが終了したら、誰でも評論家になることができます。
実はそこでも、重要なルールが実はあって、それは
先に良かったところをホメる
こと。
どんな下手なスピーチでも、なんかひとつくらいは必ず良いところがある。
どうしてもなければ、声が大きい、でも良い。
何か見つけてホメてから「こうするともっと良いのでは」という講評に入ります。
ホメたあとだと、たいていのことは素直に受け入れられるから、不思議なものだと思う。
モテる男は前者。
まずはホメろ、話はそれからだ。
スピーチ力は、聴く姿勢が育てるものだった
つまり、スピーチ力というのは、聴く姿勢が育てるものだということを、TMCで初めて知りました。
TMCでは、お互いにうなずき、ホメられ、評価され、育っていく。
おそらく、これはTMCがアメリカから来ていることに起因しているように思います。
こういうことって、日本ではあまり教えられていないですよね。
良いスピーカーが良いコミュニケーターになり、最終的には良いリーダーになるらしいです。
トーストマスターズクラブに参加するには?
まずはゲストとして参加して、合うか合わないか試したら良いと思います。
お試しで半年間通ったとしても10,000円程度しかかからないので、思い切って入ってみるのも手です。わたしも1年も通っていませんが、得るものはかなり大きかったです。
ただ、四国には5か所、高知には1か所しかないんですよね・・・!
TMCはオンラインでも最近できるらしいけど、スピーチだけはやはりface to faceが重要。
地方の難しさは、こういうニッチな場所をつかみづらいところです。
まとめ
TMCの回し者でもなんでもないのですが、「聴く姿勢」を育て、「しっかりスピーチできる日本人を増やす」ということは、とても大事な気がします。
その意味で、こうした経験を持つ人が増えるのはいいのではないかなと思い、久しぶりに思い出して記事にしてみました。
TMC幡多、欲しいかもしれない